成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2012.04.25
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カテゴリ: 高速路線バス
最近急にボリュームが大きくなってきたのが、主に「既存組」の高速路線バスを対象に、新制度対応を支援する仕事である。書面上は、<年間運行台数の3分の2まで、他社の貸切バスを活用できますよ><上下50%の範囲内でリアルタイムに運賃を変動できますよ><払戻手数料が、募集型企画旅行のキャンセル料と同等まで取れるようになれますよ>ということなのだが、いずれも現実にはそう簡単な話ではない。まず、上記3つのポイントは、それぞれ適用対象となる路線(厳密には系統)の範囲が異なる。また申請や届出など必要な手続きも異なる。もっとも、それは書面をよく読み込めさえすれば理解できる話。

むしろ、実際に運用するとなると考えなければならないことがたくさんある。例えば払戻手数料。新しい標準運送約款では、「乗車便確定乗車券」については10日前を過ぎたら20%、7日前からは30%という風に、当日キャンセルなら50%(さらに直前キャンセルならノーショー扱い100%)まで払戻日に応じて払戻手数料を頂くことができる。言うまでもなく、現行なら100円または200円だ。現行が主に「手数」に対し手数料を受け取るのに対し、新制度では空席を出してしまうことへの補償的な意味合いも(実質的には)含まれる。考え方自体は理に叶っているし、高速ツアーバスからの「移行組」にとってはほぼ現行通りというわけだが、「既存組」では考慮すべき点がいくつかあるのだ。

まず、数万円、数十万円する商品を扱う旅行会社のカウンターに比べ、鉄道、バスの窓口は低額多数の乗客を扱うため、クイックな接客を求められる。乗合バス運賃は10円単位とされ、高速バスターミナルの窓口には1円玉の釣り銭準備がない。高速ツアーバスならほぼ100%ウェブ予約で自動的に返金されるから問題ないが、「既存組」高速路線バスの場合は、上記パーセンテージの範囲内で10円または100円単位で切捨てするのが現実的だろう。

その上で、当日キャンセル50%というのは、営業上は少し高すぎる気がする。楽天トラベルのサイト上で、高速路線バス各社が、<払戻手数料が割安。急な予定変更にも対応>と盛んにアピールしていることからわかるように、手数料が高すぎて集客に影響を与えては本末転倒。さらに「100円」に慣れきった乗客も多く、説明も大変だ。そして共同運行の問題(←また出てきたよ、この問題)。地方の事業者から見れば、<東京線(w/京王)は●%、大阪線(w/阪急)は▲%>という例も生まれ得るわけだが、現実的な「落としどころ」を見つけ出し、ある程度足並みが揃うことになるかもしれない。

幅運賃によって可能となるダイナミックプライシング(レベニューマネジメント概念に基づくリアルタイム運賃変動)はさらに複雑だ。私はこれまで、ホテルでRM導入に携わり、その経験を元に高速ツアーバス各社のRM導入を支援した。だがホテルや高速ツアーバスと、今回RMの対象に加わる高速路線バスでは環境が大きく異なる。ホテルや、高速ツアーバスのほぼ100%を占める長距離路線(主に夜行)では「日単位」の価格コントロールになるのに対し、高速路線バスに多い多頻度昼行路線では「便単位」コントロールが必要だ。

課題はまだある。まず運賃制度的には、「既存組」高速路線バスは高速ツアーバスと異なり「三角表」に基づいた細かい運賃区分がある。子供、障がい者運賃なども忘れるわけにはいかない。長距離路線を中心に三角表を廃止する(あるいは廃止した)路線も増えるだろうが、昼行路線ではそうはいかない。企業秘密なので詳しく書けないが、レベニューマネジャーが、<●日の▲便は単価×円で売りたい>と考えた時に、券種ごとの三角表が半自動的に完成し販売側に反映するようなシステムの仕様を考える必要があろう。

さらに、5~6年前にウェブと出会うまでは自ら販売力を持っていなかった(事業として小さかった)高速ツアーバスの場合は、RM導入に際しウェブ以外の販路との価格の整合性は無視し得たわけだが、「既存組」高速路線バスの場合はそうはいかない(なお制度上だけで言えば、ウェブとリアルで運賃が異なっても問題ない)。往復割引、回数券、車内発券……そして忘れてはいけないのが、「乗車便変更」。

<ダイナミックプライシング(運賃変動)を行なうのはウェブ予約・事前発券に限定し、電話予約や窓口発券は従来通りの運賃制度。便変更の際は一度払戻して再購入>と決めるなら、それはそれで一つの判断だ。オペレーション負荷は今とさほど変わらず、大きなシステム改修は必要ない。長距離夜行路線ではそれもよかろう(現行でも、東京~京阪神の「ドリーム号」や東京~岡山の「ルミナス号」などは、かなり複雑な運賃体系だ)。しかし多頻度昼行路線はそれでは済まない。<30分間隔で走っているから、復路はとりあえずちょっと遅めの便を予約しておいて、当日、用件が早く終われば一本前の便に変更して購入(あるいは往復券の復路を便変更)>といった使い方こそ、多頻度路線の成長の源だ。

<事前にウェブ上で決済・発券すれば変動運賃を適用するけど変更は一切ダメ>であれば、乗客にとって事前発券を選ぶリスクが大きく、(指定席の変更が可能な上、最悪でも自由席に並べばいいJRとの競争も含めて)RM導入の効果は、事業者、乗客双方にとってあまりに小さいものになってしまう。またウェブ予約運賃を変動させる上で、変更可能な正規運賃よりも必ず安い金額を設定せざるを得ず、むしろ繁忙便の収益性を棄損してしまう。



【首都圏にお住いの方にお知らせ】
4月27日(金)、TBSラジオ『デイ・キャッチ!』に生出演が決まりました(15:30頃~。当日の状況により変更の可能性あり)





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Last updated  2012.04.25 13:34:42
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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