Laub🍃

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2012.08.01
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カテゴリ: ◎2次裏書
運動会の時、周りに話す相手が居ないから地面ばかり見ていた。

灰色の中、たまに混じる透明な鉱石を集めてポケットに入れるのが好きだった。


家に帰って、ある程度たまったそれを見ると、それは輝きを失っていた。



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集めてしまえば、見慣れてしまえば無価値になる純粋さ、透明さ。

汚い世界だからこその輝き。

あの人にとっての師匠っていうのは、どこでも綺麗なもんなのか。

それが疑問だった。






あの人達の家から帰ってきた後は決まってそうだ。

そんなツレをちゃん付けで呼んで、茶化しながら何があったか聞き出そうとするが失敗ばっか。

本当に何があったんだ。

……ま、ジュッチューハックあの人と師匠が仲良過ぎてツレの親友がおまけみたいになってることで沈んでんだろうけどよ。


それをそのまんま真っ直ぐ言うわけにもいかねえ。


「大丈夫だろ、子供が生まれたらきっとなるようになる」
「……そうだと、いいんですが」


そうだ、俺の母ちゃんだって、親友の父ちゃんだって、何だかんだで子供を愛してた。
不器用だっただけで。

ちゃんと、親をやってた。


だから俺達は親を覚えてるし、嫌いになれなかった。

だって一人目の子供が生まれた時、すごくいい笑顔だったと産科医の奴から聞いたんだ。
それをツレと聞いて実は心底安心したんだ。
あの人を想う、あいつ。俺の妹のようなあいつが、報われたことに。
新しく生まれた子が、誕生を喜ばれていることに。
あの人と師匠に、大事な存在が増えたことに。



「大丈夫だって」

そうだ、大丈夫だ。
ツレを安心させるように、自分が安心する為に、明るく笑って見せる。
ツレも少し笑った。笑わせようとしてる俺に合わせてくれたんだろうが、ともあれ、ほっとした。

そうだ、大丈夫だ。

あの人はちゃんと子供を見守り、導き、育てる。

そしていつか親元を離れる子供を見送るんだ。
まるで花の種のように。





あの人の垣間見せる、灰色の中の透明。
妹のようなあいつが見出した綺麗さ。
綺麗なものが集まっても、こっちは、綺麗なままだろう。

そうに決まってる。
Last updated 2017.10.29 13:18:01





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最終更新日  2017.11.12 22:53:06
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