Laub🍃

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2012.08.23
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「使えない屑は死線へ送れ」

 ペティット隊長は馬鹿だ。
 当然そいつらは逃亡した。

  4408部隊。そこは、地獄の部隊として名高い。
 使えない奴が回される消耗品の部隊。
 勿論そんな地獄にも自分から積極的に入る馬鹿、よく言って変人は居る。
 使命に焦がれて。ドゥダン上官に憧れて。あるいは別の所でやっていけないからと落ち込み気味で。
 -もれなく全員、後悔する。

 ドゥダン上官は王太子様の為使命を果たすことが当然と言っている。

 だが、それは今回機能していない。
 洗脳がうまく効いていないと言った方が正しいのか。
 それとも、これまでの部下が出来過ぎていたのか。

 知識と資料といくつもの軍靴の鳴る音と命令の声と、俺達の部隊はそんなもので出来ている。
 だが、全て混迷してぐちゃぐちゃだ。
 無駄に多いだけ。数だけ。
 その数さえ、他の者の足を引っ張る為にしか機能しない。

 ペティット隊長はその名の通り非常に器の小さい男だ。
 だが、それでも細かい業績を挙げるからここまでのし上がった。

 リズとホンナーとヴェテメンツ、そして俺は最下位争いをしている。
 ああ、いや、最下位に入れられたくないリズが勝手に暴走しているだけだな。


 ホンナーはそもそも働かない。
 ヴェテメンツは自分から何かをしようとしない。
 それでもリズよりはマシだ。大分、マシ。

 本当の癌はドゥダンだが。
 制裁と通告を繰り返す割に、それを働く者にしか向けない。

 きちんと責務を果たす者から摩耗していく。

 -誰も、それをドゥダンに言えない。

 俺などは、今回殺される覚悟を持ってでも直談判したいが、生憎ヴェテメンツにそれを止められている。

 -いいのか。現地住民から食糧を奪うリズを、何もせず責任だけ取ると言ってリスクの少ない問題にばかり挑むホンナーを、放置していても。

 -いいのなら、いいんだろう。

 俺はもう、どうでもいい。

 どうでもいいことだ。

 ヒステリックに喚き散らすドゥダンは、どうせ酒が入った席で、虚勢なのだと発覚している。

「強く言えば、面倒だと思われるだろう。
 だから部下はより一層働くようになるのだ」


 ああ、馬鹿だ。


「制裁の時、言われる時だけ我慢していればいいだろ。頑張っても報われないし」
「何の為に僕たちは働いているんだろうね」
「ドゥダン様は口だけだから」
「色々言われるのは俺なんだよ」


 虚勢と行き違いで世界が崩壊していく様。
 立役者は一体誰だ?
 -全員だ。
 -初めに崩れはじめなければ崩れなかった者、逃げなかった者。
 -崩れ始めたから力を入れたが、もたなかった者。

 -俺もきっと、その一人だ。


 不屈の上官殿、俺達が来る前に一人を残して全滅した部隊ー
 今回はその再現になりそうですね。

 -俺達が全滅した後、また新しい人々が来るのでしょう。
 彼らが犠牲にならぬことを、心から祈ります。





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最終更新日  2017.10.01 19:04:04
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