空梅雨だと思っていたのが一転して土砂降りになりました。
先日は要約筆記講習会で(体験発表)の予定でしたが、家を出る直前から凄い雨になり、傘をさしていた私はずぶ濡れ・・・
自転車だったので、本当は雨が止むまで待っていたかったのですが時間も迫り、やむなく進んでブラウスから下着まで濡れる有様・・・
会場に着いたら、要約筆記の方がタオルを貸してくれたり、自分の服を脱いで(重ね着された方だったので)着せてくれ、ジャンパーを貸してくれたり・・・皆さんの優しさがとても嬉しかったです。
空はどんよりと重い雨雲でしたが、心は温かい灯が点り・・・皆さん有難う。
私は3年以上前から「難聴者が経営する喫茶店」を1人でやっています。
「聞えなくてどうして1人でできるの?」と皆さん不思議がられます。
そんなに忙しい店ではなくボツボツなので1人でできるのですが、それには私を助けてくれる機器があるからです。
まず「シルウォッチ」・・・これは腕時計式です。(目覚まし時計も兼ねています)
店が二階にあるので、階下の階段入り口に赤外線で知らせるチャイムをつけています。このチャイムの音は人工内耳のスイッチを切ったら全く聞こえません。
又チャイムの場所から離れると気付かない事がよくあります。
それに人工内耳の空気電池は3個必要だし、しかも一日中、人工内耳を使うと3日で電池が消耗します。定価6個で1500円の電池では経済的に大変なのでお客様が来られた時のみスイッチを入れています。(普通に使うと6個の電池が6日で無くなるのです)
チャイムがなると、チャイムの音をシルウォッチが振動で(来客を)知らせてくれ、それから人工内耳のスイッチを入れます。お客様の声の質によって感度(ボリューム)を上げたり下げたりして調節しています。
人工内耳手術前は補聴器でしたが聞き取りが良くなかったので、「私は耳が不自由です。少し大きな声で言ってくだされば助かります」と書いたカードと共にお冷やお絞りを出してました。
各テーブルにも「私は耳が不自由です。メニューを指していただくか筆記して頂ければ助かります」と書いたものを挟んでいます。
以前、補聴器の時に来られたお客様(中年の男性)が「バナナジュース」と言われたのが、聞き取れなく3回ほど聞き返した事があります。3回目にバナナの皮を剥くジェスチャーをされたので注文がわかったこともありました。
「聞き取れなくて申しわけありません。」と失礼を詫びたら「いいえ、いいですよ」とニッコリされたのでホッとしましたが・・・
こんな風で失敗談は数え切れないくらいありますが、もし「聞えません」と書いたものを置いてなかったり、聞えないことを公言していなかったら、とても落ち込んで悩んでいたでしょうね。
こんな小さな「聞えません」カードでも私を助けてくれる必需品なのです。人工内耳装用後は以前より聞えが良くなったので、あまり使わなくていいようになりました。
あとテーブルに置いているホワイトボードとカウンターに置いているA3メモ用紙も、とても役に立っています。人工内耳を使っても健聴者のように聞えるわけではないので、時々複雑な用語が出たりすると、お客様に筆記してもらう事もあります。
あと私を助けてくれるのは常連さんです。
カウンターに常連さんが座っていて、テーブルのお客様が食事(カレーやピラフ)を頼まれた時、厨房に入るのですが店内の音が聞こえ難くなります。
それで他のお客様が「お勘定を・・」と言われるとわからない。
その時常連さんは手馴れたもので「お客さんが勘定だって」と厨房の入口まで来て教えてくれるのです。
お客様が何人か一緒に重なると常連さんは「私のはあとでいいから、テーブルの人の分を先に作っていいよ」と言ってくれます。
どうかすると出前(近所から時々出前注文が入ります)まで常連さんが運んでくれたりします。
また仲良くしている常連さんなど時々おかずの差し入れも持ってきてくれます。その方の、時間が無い時は「自転車の籠におかずを入れてるよ」とメールが入っていたり・・・で決して多くはないけれど友達みたいになったお客さんが数人おられます。
このように私を助けてくれる常連さんや便利なシルウオッチ、メモ帳などのおかげで1人で店ができるのです。こんなとき、1人で生きているのではない、皆に助けてもらっているんだ・・・と凄く有難く思います。
私が難聴会を知らないときに比べて、何といろんなことを知ることができたでしょう。
要約筆記、人工内耳、耳マーク、シルウオッチ、文字放送・・・など聞えない私を助けてくれる様々なもの・・・そして一番は友達、要約筆記の方、常連さん・・・つまり、人です。機器ではなく、人なのです。
これからも、どうぞ宜しくお願いします。 では また・・