トドのつまりは・・・

トドのつまりは・・・

2010年07月25日
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カテゴリ: テレビ
最近、日本の地デジ規格が、海外で威勢がよい。

フィリピン、地デジ日本方式採用を決定

南米で進む地デジの日本方式採用 官民一体での売り込み奏功

地上デジタル放送方式というと、欧州のDVB-T規格が一番最初に作られ、ほぼ同時期だった米国のATSCに比べ技術的にも優れていたため、古くからデジタル放送を開始した先進国は、DVB-Tを採用した国が多かった。
しかし、最近になって放送のデジタル化がこれから始まる南米で、総務省や関連企業の巻き返しが実り、日本方式のISDB-Tが、続々と採用されているそうだ。
すでに、ブラジル、ペルー、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、エクアドル、コスタリカ、パラグアイの8カ国が日本方式を採用。南米では人口比で約80%のシェアを占めるとのこと。
さらには中米への売込みを進めているようで、
ボリビア、ベリーズ、ニカラグア、ドミニカ、キューバは、試験放送を実施中とのことだ。これらの国も、採用の可能性は高そうだ。

アジアについては、今回、フィリピンが初採用。他は既に欧州方式に決まっているので、なかなか厳しいだろう。ただ、中央アジアや中東諸国はまだ未決定だし、さらには、アフリカ大陸もある。 これ によると、総務省は、南アにも売り込んでいるようだから、がんばって広めて欲しいところだ。

さて、なぜ、日本方式の採用が増えているのかについては、不思議がる人も多い。

が、この無理解は、日本方式=「ガラパゴス」という単純図式にあてはめてしか、ジャーナリズムが取り上げないことが大きい。

あまりに、こうした上っ面の批判がはびこるので、天邪鬼な私としては、日本方式の採用が広がる理由の解説を試みてみよう。

まず、日本方式のISDB-Tという方式が、何か全くの日本オリジナルの放送方式であるかのような誤解があるが、それ自体がまず間違いだ。
日本方式の仕様を読めば分かるが、大部分は、先行していた欧州のデジタル放送規格DVB-Tをベースにしており、規格を作った時期が遅い分、さらに機能を追加したり、性能を改善したりしたのが、ISDB-T規格なのだ。
従って、当たり前だが、単に機能面、性能面で、○×をつけていけば、DVB-TよりISDB-Tの方が優れている。
問題はコストが高くつくことだったのだが、最近は、日本方式のシステムLSIのワンチップ化が進み、日本でも五千円チューナーが実現するまでになった。
B-CASカードやデータ放送を搭載しなければ、もはや、欧州方式や米国方式との価格差はほとんどないと言っていい。

一方、例えばモバイル端末向けのテレビ放送ということでいうと、さまざまな方式が提案されているが、結果として最も実用化が進んでいるのは、日本のワンセグ方式である。
ワンセグ方式は、モバイル向けに別に放送アンテナを立てなくても、コバンザメのように、ハイビジョン放送と設備兼用でき、運用コスト出来る点が楽だから、こうした点も、国土の広い南米で、評価されたようだ。

また、NHKの努力で、ISDB-Tは、すでに単なる日本国内の規格ではなく、ISDB-T Internationalとして、ATSCやDVB-Tと並んでITU-Rの国際規格にも採用されている。

さて、そもそも技術的には後発の強みで優れているし、国際規格としても採用されている訳なので、あとは国を挙げての売り込み次第ということになる。


インドのように、NHKが政府の出入り禁止をくらってしまった国まであるようだ。

その後、人口が多く、資源も豊富で、次の世代の世界経済を担うと言われるBRICs諸国の中核であるブラジルに対し、日本方式の売込みを官民一体で行い、経済協力やきめ細かなサポートも含めて売り込みを行い、ブラジルの偉い大学の先生が開発したGINGAというミドルウェアを規格に取り込むなど妥協を重ね、採用が決定したらしい。
その後、ブラジルの採用が契機になって、他の南米の国も採用を決めた、という経緯になる。

こう書くと、こうしたロビー活動を汚らわしいものであるかのように蔑む人がいるが、私にはその理屈がさっぱり分からない。
日本の産業で強みがある分野があれば、それを世界に売り込んで広げることで、優位に立つ努力をするのが、何が悪いのだろう?

中国なんかではできない、優れた技術があれば、それを伸ばして、どんどん海外に売らないと、日本なんてあっという間に沈没するよ。

鉄道や、原子力発電、水資源プラント、エコ技術など、他の分野でもこの手の官民一体の世界への売り込みや、世界標準規格への売り込みは、最近ようやく盛んになってきたが、私は、勝てる分野に絞って、もっとやるべきだと思う。
これを一部の産業の優遇だ、と批判するのは間違いだろう。

もちろん売り込む産業は、世界に売り込めるだけの優位性を持っていることが必要だし、影響する国内産業の裾野が大きいことも必要だろうが、そうした条件を満たすなら、産業振興策として効率がいいのは間違いない。
挙げた業界以外でも、本当に世界で戦える強みを持っていて、産業の広がりも期待できるなら、どんどん役人や政治家を巻き込んで世界に売り込む努力をすればいいし、すべきだ。

そもそも、日本人が、国内だけの需要に満足し、優れた自分の技術を世界標準として広める努力をしなかったから、ガラパゴスになったのであって、決して、日本方式=ガラパゴスなのではない。

その意味では、このアプリックスの方のおっしゃること、共感できるな。

「ガラパゴスじゃだめなのか」、700/900MHz周波数WGから

なので、どんな分野でも、それが、たとえ劣勢であっても、日本方式を世界に広めるために汗を流している人たちを、薄ら笑いで馬鹿にするのだけは、やめた方がいい。
デジタル放送方式だって、当初は、欧州方式に連戦連敗で、全く成果が出なかったのだ。しかし、その反省を生かして戦略を立て直し、南米では成功したのだから。
関係者のその努力は認めてあげるべきだろう。

この勢いで、鉄道や水プラントの売り込みも、頑張って欲しいものだ(これらは経産省だが)。

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最終更新日  2010年07月25日 09時39分51秒
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