おぢさんの覚え書き

おぢさんの覚え書き

2018.12.02
XML
カテゴリ: 近代
桜田義孝・五輪担当大臣兼サイバーセキュリティ戦略本部担当大臣が、パソコンを使えないサイバーセキュリティ大臣ということで物議を醸していた。

パソコン使えぬ桜田五輪相 空気読む判断力はあるとの評価も (Newsポストセブン)

パソコンを使うかどうかが、サイバーセキュリティ担当としての適性を見る目安になるかといえば、そうでもないということは多くの人が気づいている。
それよりも気になるのは、答弁で背後に控える官僚たちである。まるで大臣は答弁をするロボットで官僚に操られているだけのように見える。当人が「答弁書を間違いのないように読むことが最大の仕事だ」と発言している事からも分かるように、彼は官僚が用意した答弁を読み上げるロボットである。質問も用意された回答も、たいして理解していないからちぐはぐな答弁になる。

国会答弁の作り方1 〜大人も子供も、議員さんも〜
 (若手キャリア官僚は今こんなことを考えています)

「私自身はそんなに詳しくない」と認めるように桜田大臣はサイバーセキュリティに関してまったくの素人である。そして「いろんな能力を総結集して、ジャッジしてやるのが私の仕事」「判断力は抜群」という具合に自分の役割を認識している。情報処理のように急速に拡大発展し、分野が細分化、専門化が進んでいく領域では特に目立つが、政治家にポストをポンと割り振って、その専門分野の知識を期待するなど無理な相談であることは誰でもわかる。

縮小する分野も一部にはあるかもしれないが、学問も社会も複雑化細分化が進み、更にそれが急速に変化していく。法案を考えるのも専門家に近い官僚のチームであり、野党の質問に対する回答を考えるのも専門家並みの官僚である。官僚出身の政治家が多いのも頷ける。大臣は方向性を示したり、官僚の説明を聞いて選択するくらいがいいところだ。専門でもない一政治家がいきなり、大臣として各省を任され統括するというシステム自体が、変化の速い時代に合わなくなってきているのかもしれない。本会議よりも委員会の比重が増しているのも、そうした専門化の流れに沿うものだ。

社会制度や政治制度は以前なら何世紀も持ちこたえたものだが、今日ではどの世代も古い世界を破壊し、それに替わる新しい世界を建設する。『共産党宣言』が見事に言い当てているように、現代世界は不確実性と動乱を是が非でも必要とするのだ。固定的な関係や昔ながらの偏見は一掃され、新しい構造は定着する間もなく時代遅れになる。
p.29 ユヴァル・ノア・ハラリ(著)柴田裕之(訳)『ホモ・デウス』下

​ 前回 ​書いたように、近代民主主義は200年以上前に考えられた古くて巨大なシステムである。このシステムは複雑化し、激しく変化していく現代に対応できるのだろうか。国家という構造物も昔ながらの構造のまま維持することは難しくなっているのではないか。

さてと、80年前に戻るか。

80年前に比べて、今の時代は人民の権利が守られる良い時代になっただろうか?言論の自由は守られているか?

「私はあなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」。大学でビラを配っただけで逮捕される時代に。

行政機関の権力は乱用されていないか?

国の対抗措置「違法」 「辺野古」撤回執行停止申し立て 行政法研究者110人声明
  (琉球新報)
辺野古新基地:行政法研究者110人の声明文全文
  (沖縄タイムス)

80年前、弁護士の有志が人権蹂躙撲滅の決議を行った。今日に過去と同じような人権蹂躙が行われていないか、確かめられるように、少々長いが『近きより』に掲載されたその決議部分を示しておこう。
一月十四日、日比谷松本楼に東京三弁護士会 [1] の有志である左の弁護士が集まり、左のような決議をいたしました。
 決  議
法曹出身を首班とする現内閣 [2] は、法律文化の汚辱たる人権蹂躙を根絶するため、左記諸点に対し適当なる対策を講ずべし。
一、警察官が名を行政執行法に藉り、不当に人民を検束して省りみざる所謂連続検束、又は検束の蒸返しなるものは明かに法律の濫用にして人権蹂躙なり、此際行政執行法の誤まれる運用を停止せしめ、以て従来の弊風を一排すべし。
二、被疑者に自白を強要し、時には暴力を加うるが如きは夫れ自身明かに犯罪なり、犯罪捜査の局に当るものが、反って犯罪を犯して省みざるが如きは戦慄すべき違法行為なり。
遵法精神鼓吹に努力しつつある当局は、先ず脚下の清掃に留意せざるべからざるや勿論なり。
三、密行せらるべき捜査中の事実が外間に漏洩し、または公然新聞紙に掲載せられ、これが為め関係者の名誉信用を棄損することの極めて大なるものあり、斯く如きは明かに司法綱紀の紊乱にして、懲戒処分に値する行為なるに拘わらず、従来平然として行われたるは遺憾なり。
現内閣は速やかに綱紀を振粛し、以てこの種の弊風を根絶すべし。
四、拘留機関は原則として二箇月にして、例外として特に交流継続の必要ある場合に於ては更新することを得るものとす。然るに今日の実情は拘留期間は屡々更新せらるるを常態とし、例外規定が反って原則視せらるるが如き奇観を呈せるは遺憾なり。加之《しかのみならず》長期拘留は往々被告人の精神健康並びに職業等に悪影響を及ぼし、実刑に優る苦悩を与え、之が為め虚偽の自白を余儀なくされ、審理の紛更を招く原因となることあり。故に当該官庁をして法律の運用に過誤なからしめ、以て長期拘留の弊害を一掃すべし。
p.67 昭和14(1939)年「近きより 71 人権蹂躙撲滅の決議」『近きより2』第三巻第二号<三月号>
​
日本に人権概念などあったためしはなく、当時は一層悪化していた。人権を守るための闘いを続ける弁護士たちはいたが、彼等の努力も空しく、日本の人権蹂躙は一層悪化していく。組織というものは一旦ある方向に傾いても、振り子のようにバランスを保つ場合と、そのまま一方向に落ち込んでいってしまう場合がある。ある点を超えると元には戻れなくなるということだ。
ちなみに最近の人権蹂躙も、まったくひどいものがあり80年間ほとんど進化していない。籠池氏の拘留は10か月に及んだ。起訴されないうちから実名報道は日常茶飯事であるし、報道されなくてもネットで拡散する。



[1] 一八九三年、代言人制度からあらためて弁護士法が制定され、代言人組合に代って、同年、東京弁護士会設立。一九二四年、第一東京弁護士会が、二六年、第二東京弁護士会が分立、三弁護士会となる。
[2] 平沼内閣。


にほんブログ村 政治ブログ リベラルへ
にほんブログ村





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2018.12.04 21:31:09
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

たそたそ@ Re:土器-編年(02/14) こんばんは。 ブログのチェックされてない…
おぢさん@ Re[3]:無(03/15) なんだかねさんへ (続き)昔ある人がお…
おぢさん@ Re[3]:無(03/15) なんだかねさんへ お久しぶりです。永ら…
おぢさん@ Re[1]:土器-編年(02/14) 上毛野形名さんへ 長いこと返信もせず失…
なんだかね@ Re[2]:無(03/15) おぢさんさんへ 遅ればせながら「人新世の…

Calendar

Favorite Blog

花火・仙台七夕前夜… 小野寺秀也さん

友人のマンションに… クマタツ1847さん

再出発日記 KUMA0504さん
格物致知~ゆとり世… さいとうじゅんさん
みゃ。の日記♪ 愛。… ミンちゃん2294さん

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: