社会制度や政治制度は以前なら何世紀も持ちこたえたものだが、今日ではどの世代も古い世界を破壊し、それに替わる新しい世界を建設する。『共産党宣言』が見事に言い当てているように、現代世界は不確実性と動乱を是が非でも必要とするのだ。固定的な関係や昔ながらの偏見は一掃され、新しい構造は定着する間もなく時代遅れになる。
p.29 ユヴァル・ノア・ハラリ(著)柴田裕之(訳)『ホモ・デウス』下
一月十四日、日比谷松本楼に東京三弁護士会 [1] の有志である左の弁護士が集まり、左のような決議をいたしました。
決 議
法曹出身を首班とする現内閣 [2] は、法律文化の汚辱たる人権蹂躙を根絶するため、左記諸点に対し適当なる対策を講ずべし。
一、警察官が名を行政執行法に藉り、不当に人民を検束して省りみざる所謂連続検束、又は検束の蒸返しなるものは明かに法律の濫用にして人権蹂躙なり、此際行政執行法の誤まれる運用を停止せしめ、以て従来の弊風を一排すべし。
二、被疑者に自白を強要し、時には暴力を加うるが如きは夫れ自身明かに犯罪なり、犯罪捜査の局に当るものが、反って犯罪を犯して省みざるが如きは戦慄すべき違法行為なり。
遵法精神鼓吹に努力しつつある当局は、先ず脚下の清掃に留意せざるべからざるや勿論なり。
三、密行せらるべき捜査中の事実が外間に漏洩し、または公然新聞紙に掲載せられ、これが為め関係者の名誉信用を棄損することの極めて大なるものあり、斯く如きは明かに司法綱紀の紊乱にして、懲戒処分に値する行為なるに拘わらず、従来平然として行われたるは遺憾なり。
現内閣は速やかに綱紀を振粛し、以てこの種の弊風を根絶すべし。
四、拘留機関は原則として二箇月にして、例外として特に交流継続の必要ある場合に於ては更新することを得るものとす。然るに今日の実情は拘留期間は屡々更新せらるるを常態とし、例外規定が反って原則視せらるるが如き奇観を呈せるは遺憾なり。加之《しかのみならず》長期拘留は往々被告人の精神健康並びに職業等に悪影響を及ぼし、実刑に優る苦悩を与え、之が為め虚偽の自白を余儀なくされ、審理の紛更を招く原因となることあり。故に当該官庁をして法律の運用に過誤なからしめ、以て長期拘留の弊害を一掃すべし。
p.67 昭和14(1939)年「近きより 71 人権蹂躙撲滅の決議」『近きより2』第三巻第二号<三月号>
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