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今「翔んでる」とかなんとかいわれるでしょう。今のは「翔」なんだね。ハコさんのは「飛」。それは重さと決意があるんだね。今の「翔んでる」というのはちょっと違うんだ。自分はあれには感心ないんだね、ほとんど。ところが、ハコさんの「飛びます」というのは飛なのね。それはもっと野蛮なの、決意としては。翔というのはちょっと高級なの、自分のイメージにおいて。だから、ハコさんの「飛びます」と出会った時は、面白い題名のLPがあるなと思った。
もちろん全然知らない人だったんだけど、一も二もなく手許に置いて聞いてみたら、なにか変な重さと、その重さにあらがう決意みたいなものね、非常にブラックな。1枚目なんか特にブラックな。基本的にわらべ歌なんだけれども、あの人、今なんかすごみがある。すごいブルースシンガーじゃないかと思う。
ハコさんが両腕でこっちは人さし指1本で腕相撲したら勝てると思うわけよ。ところが、そのすごさ、全然かなわないもの。そういうところで、基本的にある種の女というものを感じるときがある。それは具体的に山崎ハコなんだろうけど、これはかなわない、逆立ちしても。俺がオカマになってもかなわない。
(原田芳雄エッセイ集 B級パラダイス 俺の昨日を少しだけ<ワニの選書>P146より)