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February 10, 2004
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カテゴリ: 書評
蹴りたい背中


≪芥川賞≫を受賞するようになってしまった。

『ダブル最年少』として例年になく話題になった
今回の芥川賞。
受賞作を読んだのは、『GO』以来だ。

一言で言えば、孤独な女の子の話だ。
高校に入ったのに、友達が出来ない。
『友達が出来ない自分』というものを
快くは思っていないものの、

入ってまでどうにかしたいとまでは思わない。

その気持ちはわかる人にはわかるだろう。
そんな主人公があるきっかけで、
もう一人の孤独な少年と接点を持つのだが、
だからといって彼と何かを共有したりすることはない。

はたから見ると、同じ『孤独な人』だから、
『孤独な人同士』それなりに心通じるものが
あっても良さそうに見えるが、
当人たちにとっては、それぞれ別々の孤独感を
抱いているのであり、
それが結び付くことは決してない。



不思議な作品だった。
多分、作者はそういう世界を支持したいとは
思っていないのだろうが、
安易な救いを作り出していないところに、
自然なリアリティを感じた。


孤独は惨めなものだ。
でも、だからといって、無理やり
どうでもいい人達の中に入っても、
孤独感は消えるものではないし、
むしろ増す一方である。

多くの人がなんとなく感じている
一つの真実がここにある。
そういう意味では、確かに良く書かれた作品だと思った。

ただねぇ。
だからといって、こんな話が
絶賛される世の中っていうのも
どうかと思う。

そりゃ無理してくっつく必要はないし、
自分と本当の意味で同じ世界観を
共有できる人間なんて、世の中そうそう
いるものではないけれど、
だからと言って人との関わりを作ろうとしないのは
どうなんだろう。

自分と違う他者の存在を認め、
それを尊重し合うことによって、
お互いの『個性』というものは生きてくるはずだ。
そうすると、『違う』と思っていたはずの
他者の中にも、『同じ』と思える部分が
見えてきたりして、
そういう過程が面白いと私は思う。

他者におもねる必要はない。
でも、自分から閉ざしてしまっては、
何も生まれない。

まぁ、こんな作品を世に出すことによって
自己を表現した綿矢さんは
そんなことちゃんとわかっていると思うんだけどね。





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Last updated  November 20, 2005 03:39:06 PM
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