丑のゐどころ-Ushi no Idokoro

丑のゐどころ-Ushi no Idokoro

2006.04.03
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カテゴリ: ほーん
芝田勝茂 2001.『サラシナ』あかね書房.

【感想】

芝田氏の作品との出会いは『夜の子どもたち』.

夜読み出したら,先が気になって,
空が白み始めるまで読んでしまった本である.
というか,あまりに恐くて椅子に金縛りになって
先を読むしかないという状態にさせられるのだ.

久々に,著者の本を読んで
最初,あれ?と思った.


つんのめるような感じがあって,
スムーズに読めなかったのだ.

そんなわけでしばらく机の上に置きっぱなしに
なっていたのだが,
ぱらぱらとめくっているうちに
素材や登場人物がとても興味深いと
感じ始めた.

話の元になっているのは
『更級日記』に出てくる作者の聞き書きの伝説.

御所で警護をしている武蔵の男が

「故郷では,酒壺の上に置いてある

 南風が吹いたら北になびき,北風が吹いたら南になびき…
 あちこち吹かれて風になびいているのを見ていただろうに」

とつぶやいたのを帝の娘が聞きつけて

「私もそれを見てみたい.そこへ連れて行って」

と2人で御所を抜け出し,


「我ゐて行きて見せよ.」と古文で書いてあると
解読するので精一杯なんだけれど,
現代の言葉で臨場感を持って書かれると
とてもダイナミックでドラマチックである.

『サラシナ』はファンタジー仕立てになっていて
中学生のサキが,タイムスリップして
帝の娘になるという設定なのだけれど
2回,タイムスリップする辺りの設定が
すっきりしていたらもっと良かったような気がする.

娘が恋する武蔵の男,不破麻呂が魅力的.

自分の人生をひさごのひしゃくが風になびくのに
なぞらえながら,

人同士の関係は,なりゆきだからこそ
1つ1つのできごとのぶつかりが重要で
その積み重ねが関係を作っていく.

それを妥協しなかったから偉いと
他人に言ってはいけない,

と言う.

児童文学として書かれているが
年齢を重ねて意味合いが深くなっていく台詞である.

キスシーンなどがあるわけではないんだけれども,
そこはかとなくエロい感じがするのが
また面白い.





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Last updated  2006.04.20 08:59:37
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