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2013/11/10
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カテゴリ: 旅日記

ロンドンのパブで
(2013/10/26)

晩ご飯を食べに、ホテル近くのパブに入った。

カウンター2.jpg
カウンターはいつも賑わっている
カウンター.jpg
左手前がビール。指さして注文する。

ロンドンのパブでは、飲み物はカウンターで注文して、自分で席まで運ぶ。料理はやはりカウンターで頼むが、(作ってから)店員が席まで持ってきてくれる。
去年入ったパディントン駅のパブはテーブルにあらかじめ番号が振ってあって、カウンターで料理を頼むときにテーブル番号を伝えたのだが、ここは少し違うようだ。(たぶん、こっちが普通?)
テーブルに番号はなく、オーダーを伝えた時に渡される番号札をテーブルに立てるのだ。

 「料理は30分くらいかかるけどいいか?」
 「問題ないよ。」

今はまだ20時。
この後はホテルに帰って寝るだけだから、気楽なものだ。それに日本にいたら、今頃の時間は当然仕事の真っ最中。こんな時間から飲んでいること自体、優雅な話だ。
明日だって、朝から空港に向かうわけではない。夕方まで滞在して、長年の憧れの場所に行くのだ。

ビールを飲みながらのんびり待った。イギリスならではの、全く冷えていないピルスナー。冷えていないので、いつ飲んでも味が変わらない。冷えていると、時間と共にだんだん美味しくなくなるから、こういう発想もあるなあ..と納得。味も良い。むしろ冷えていない分だけ、ビールの味がしっかり伝わってくる。

そのうち、料理がやってきた。

フィッシュアンドチップス.jpg
コッド&チップス、つまりフィッシュ&チップス
(大きさ比較のために、4色ボールペンを置いた)

毎度ながら、大きい。.....
いや、白身魚のフライ(?)は大好きだし、美味しいのだけれど、大きすぎて、やっぱり途中で飽きるなあ。去年の経験で、ビネガーをたっぷりかけた方が食べやすいことは判っているけれど、限度がある。
それに、どうしていつもこんなにグリーンピースが載っかっているのか。(そんなに好きなの? 冷凍のグリーンピース。)
でも、これぞイギリスという気がする(=今しか食べられない)ので、せっせと食べた。

パイ.jpgスタッフSが注文した、何とかパイ

こちらの方が凝った味で美味しかったかも。でも、やっぱりグリーンピースが多い。

イギリス人が「これが好き!」と思うなら、それでいいのだと思う。イギリスにやってきた外国人が、自分達の好みで勝手に「イギリス料理は不味い」と決めつけるのは不遜というものだ。

ステラアルトワと言えば.jpg
ステラアルトワビール


2杯目はこれにした。
ステラアルトワといえば、テニス界最大の大会「ウィンブルドン選手権」の前哨戦のスポンサーだ。
「ステラアルトワ・グラスコート選手権」。ウインブルドンの直前に開催され、同じ"天然芝"の大会であるため、ここで優勝した選手がウィンブルドンを獲る確率が高いと言われている。(20年くらい前の話だけど、もしかして今は違うのかな?)


さてお酒の酔いが回ってきたところで、少し話が脱線する。

あれは1982年の初夏だったはず。
終電で帰宅してつけた深夜のテレビで、ウィンブルドン選手権の男子決勝を生中継していた。前年に王者ボルグを激戦の末に倒し、今や全盛期を迎えていたマッケンローと、1974年に神様ローズウォールをやはりウインブルドン決勝で倒してNo.1に君臨したが、今や30歳を越えて衰えを指摘されていたコナーズの対戦。
下馬評は当然、圧倒的にマッケンローが有利。
当時全く素人の僕が観たって判る。マッケンローは独特のフォームから、もの凄くキレのあるサーブをコーナーに打ち込む。飛び込んでボールを打ち返すコナーズの身体はそのままコートの外に流れてしまい、何とか返ったボールをネット際までスルスルッと詰めたマッケンローが反対コーナーにボレー。これで決まりだ。たった2ショットでポイントを決めてしまう。
天才マッケンローの、芸術的なまでに完璧なサーブ&ボレー。
これに対して、コナーズはとにかくコートをかけずり回る。どう考えても取れそうにないボールに食らいついて、銀色のラケットを煌めかせてリターン。芝にひっくり返って立ち上がり、肩で息をしながら、まるで自分を鼓舞するかのように両拳に力を込めて吠える。
コナーズのサービスゲームはマッケンローの3倍くらい時間がかかっている。ただでさえマッケンローよりずっと歳を取っているのに、あれではすぐにへとへとになってしまうだろう。

しかしだ。観ているとハラハラするけど、ジーンと感動がこみ上げる。(たぶん、判官贔屓)
それに何やかやでコナーズは善戦していた。時には、絶対届かないと思われたボールに飛びつき、ダウン・ザ・ライン(コートのサイドラインに沿って真っ直ぐ!)パスを抜く。慌ててボレーに跳ぶマッケンローのラケットが空を切って、芝の上にひっくり返る。観客がどっと沸く。コナーズが吠える!

 コナーズ   3 6 6 7 6
 マッケンロー 6 3 7 6 4

気がついたらスコアが全くのタイで進んで、あろうことか最終セットにもつれ込み、翌朝の新聞の写真ではコナーズが飛び上がってガッツポーズをしていた!
 『コナーズ、勝っちゃった....』
いっぺんでコナーズという選手が大好きになってしまった。
どんなに厳しい状況にあっても、全力以上で戦い続けるファイター。「ボルグはマシーン、コナーズはアニマル、マッケンローはアーティストである」と言われた時代だ。あらゆるテニス雑誌を読みあさっては、コナーズや他の選手達の動向を追いかけた。ボルグもマッケンローも、レンドルもビランデルも、ノアもルコントも、ビラスもゲルライティスも皆個性的で、どの試合も面白かった。
テニスは個人競技だし、世界中の選手達が同じコートで戦う。ダブルスでは国籍に関係なく、ペアを組む。いろんな国の人がスポーツのルール内で正々堂々と戦い、観客も戦う両者を純粋に応援する。観客同士が罵倒し合うようなこともない。フーリガンなど皆無だ。政治思想で国旗を掲げて走り回るバカな選手もいない。

そんなプロテニスの世界が大好きだった。海外旅行など行けるはずもない、行けても一生に一度くらいだと思っていた当時の僕にとっては、憧れの「世界」の空気を自分の部屋に居ながら感じられる"媒体"でもあった。

そしてそのうち、中学時代にちらっと思ったきり、心の中に封印していた「テニスをやってみたい」欲求が芽を出した。
あれは確か1984年の11月。すでに社会に出て、月曜から土曜の毎日、毎朝8時半から夜11時まで(注:週休二日制なんて、後の時代の話)机に向かって仕事をしていた僕は、時『何か身体を動かすことをしないとおかしくなる』と思った。
思えば中学では卓球部と剣道部をさぼりまくり、高校では入学早々膝が剥離骨折を起こして正座禁止を言い渡されたのを良いことに「文化部は許さん」と言う親を沈黙させてマンガ研究会に没頭し、専門学校では課題の嵐とアルバイトでクラブ活動どころではなかった。
要するに僕は、生まれてこの方、スポーツを一つとしてモノにしたことがないんだ..。今こそがたぶん、人生で最後のチャンス。毎週日曜に、テニスかスキューバ・ダイビングのどちらかをやろう。(注:水泳も大好きだったので。)
冷静に考えると、スキューバ・ダイビングは海に行かないとできないが、テニスなら近所のテニスクラブでできる。たぶん続けやすい!
そんなわけで、僕はNASテニスクラブ越谷の戸を叩いた。日曜朝9時から1時間半のレッスン。その後は外のハードコートを丸一日使って、夜の9時まで好きなだけボールを打てるという、今でもなかなかない好条件のクラブだった。競い合える仲間もできて、組み合わせを変えながら、シングルスやダブルスを毎週何試合もこなし、帰宅すると11時からの東京12チャンネル(=現在のテレビ東京)でテニスの番組を見て寝るというスケジュール。
以後の11年間、会社から「パーティジョイのセット(箱詰め)が間に合わないから、手伝え」と臨時招集がかからない限り、あるいはプログラマーに張り付いていないと納期に間に合わない状況にならない限り、唯一の休日である日曜日は丸ごとテニス漬けだった。


そんな懐かしいあの頃の「きっかけ」をつくったウィンブルドン。
あの舞台を一度この目で見たいとずっと思っていた。
前哨戦のステラアルトワを飲んで、 それがいよいよ明日叶う。

ホテル3.jpg


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Last updated  2013/11/21 02:48:47 AM
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