猫の箱

お店番をしていた住人１が、２階にいる私を呼びに来ました。「先生～、建築学科の学生さんが沢山、家を見ているから、家を設計した先生が説明してあげて～。」と言うので下へ降りると、ギャラリーが窮屈なほどの若い生徒さんと引率の先生が１人。学校名を聞くと、私の卒業した大学の、北海道校舎の生徒さんとの事でした。「建物の写真を撮っても良いですか？」と言われ、くすぐったい様な・・・でも嬉しかったです。

「鎌倉らしいかどうかは見た方の感じ方にもよるでしょうけれど、平成の世で出来る、最新の材料を使って創ってみました。」

「何でもやろうと思えば、何歳からでも出来るんですよね～。」

「学校課題で、ウンウン考えた事は、一生あなた達の設計に生きるから、今を大事に。」

「建築家も、絵は描けた方が良いです。是非、手を動かしてね。」

学校の先生になりたいと思っていた時もあるので、ついついベラベラと姉さん面して・・・。建物の作り方や、環境の話やら、鎌倉の緑の話やら・・・。日頃思っている事や、建築家として考えている事などを話してしまいましたが、ハッと気が付き、途中で話すのを我慢しました。この歳になると、結構、建築業界の現実を知っていますから、簡単に”答え”を言いたくなりますが、夢多き学生さんには、芽を摘むような事は言わず、”夢”見心地のまま居て欲しい気もしますのでねぇ。

そして良い事を思いつきました。学生時代、机を並べていた同級の「優等生」が設計した家が、歩いて２分の所に有るので、皆様をお連れしました。

引率の先生はビックリした様に笑いながら、「へぇ～～～、対照的ですねぇ～～～。」と。学生さんには、正解の無い世界だという事を感じてもらいたかったのです。

建築学科の学生時代、教授に気に入られず「劣等生」と呼ばれた私。確かに今思えば、いわゆる”普通”ではない生徒だったかもしれないです。でも劣等生な分、建築に対する”夢”や”疑問”や”アイデア”は、捨てずに考え続けて来た気がします。何歳で追い付いても良いじゃない！？のろまな亀でも良いじゃない！？人生一生勉強よ！！

オデンが思うにはね、優等生も劣等性も無いと思うんだけどなぁ。

あたしはあたしとして存在しているだけだから。