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2004年03月08日
歌舞伎座3月大歌舞伎昼の部感想
テーマ:
こんな舞台を観た(古典芸能編)(730)
カテゴリ:
カテゴリ未分類
今日は歌舞伎座3月大歌舞伎の昼の部を観てきました。
1つめは「伽羅先代萩」。簡単に説明すると御家横領の悪事を企む一味と、そうはさせまいとする忠臣達の物語です。今回は毒殺の危険にさらされている若君を一人で守護する乳母・政岡の件が主に上演されました。政岡は菊五郎さん、御家横領を企む仁木弾正は幸四郎さん、仁木弾正の妹・八汐は段四郎さん、栄御前は芝翫さん、忠臣荒獅子男之助は富十郎さん。
菊五郎さんの政岡は母親らしさの感じられる政岡でした。以前玉三郎さんの政岡を観たことがあるのですが、玉三郎さんの政岡は烈女(政岡は自分の息子がなぶり殺しに遭うのを目にしても動じずに、お仕えする若君を守るという女性なのだ。)という言葉が非常にしっくり来る政岡だった半面、母親らしさが感じられないように思いました。その点、菊五郎さんの政岡は、千松(政岡の息子)がなぶり殺しに遭うのを観ると母親としての思いからもう少しでくじけそうになるのだけれど、それでも気を引き締めて若君を守る。この千松がなぶり殺しに遭っている最中の菊五郎さん政岡の演技が素晴らしかったです。観ているこちらの心が動きました。
八汐の段四郎さんは、余裕たっぷりに憎らしい役を演じるので観ていて時々本当に憎らしく思えました。「俊寛」の瀬尾にしてもそうだけれど、段四郎さんの悪役って余裕たっぷりだからすごく憎らしい。つくづく段四郎さんって巧い役者さんなんだなと思いました。今まで憎い憎いと書いてきましたが、段四郎さん八汐は憎い一辺倒でもありませんでした。理屈で攻められて逆ギレしている様子などはどこか滑稽だったし、八汐というのは意外にいろんな側面を持った役なのだなと思いました。
仁木弾正は幸四郎さん。うーん…前回見たときに仁木を演じた仁左衛門さんに軍配が挙げたいと思います。「大石最後の一日」にしてもそうでしたが、幸四郎さんって地味な感じがするんですよね。なんだか仁左衛門さんのほうが魅力的に感じました。ちなみに仁木弾正の登場場面は、スモーク(仁木弾正は妖術を使っていたという設定なので、登場の際にスモークが焚かれる)と面明り(顔を照らす蝋燭)がなんだか懐かしく感じられました。
鼠に化けた仁木弾正を捕える荒獅子男之助は富十郎さん。富十郎さんなりに頑張っているのはよく分かるのですが、何しろ前回の男之助は新之助だったので力強さ・若々しさの面では見劣りがしてしまいました。ほんと、富十郎さんなりには一生懸命だったんだけど。
2つ目は舞踊「藤娘」。松の古木に絡みついた花盛りの藤の前で、娘姿の藤の精が踊る、というもの。藤の精は芝翫さん。ちなみに観始めた最初の内は、先代萩の栄御前(悪人です)が踊ってるとしか思えなくて……(笑)。観ているうちにちゃんと「藤娘」の世界に入っていけましたけど。
芝翫さんの「藤娘」は衣装を替えてきたあとに客席に向かってお辞儀するところがとても可愛いです。芝翫さんの「藤娘」は以前にも観たことがあって、そのときもお辞儀するところが可愛らしかったという感想を持ったのですが、今回もそう思いました。
3つ目は「恋飛脚大和往来―新口村―」。馴染みの遊女・梅川を身請けするために公金に手をつけてしまった忠兵衛は、梅川との逃避行の末故郷の新口村へとやってくる。そこへ偶然通りかかる忠兵衛の父・孫右衛門。孫右衛門の難儀を梅川が助けたのがきっかけで、孫右衛門と忠兵衛は対面を果す。孫右衛門が梅川に養子に出した息子・忠兵衛への思いを語るところが見どころ。孫右衛門・忠兵衛は仁左衛門さん、梅川は雀右衛門さん。
演目が演目だし配役が配役なので結構期待していたのですが、「封印切」(忠兵衛が梅川身請けのために公金に手をつけてしまう場面)などもなくいきなり「新口村」の場面だったので、どうも観ていて気分が乗れませんでした。あとは、歌舞伎の中では孫右衛門と忠兵衛は対面を果すんですが、近松門左衛門の原作(「冥途の飛脚」)では二人は対面しないんです。お互いに会いたいと思いながらも会わず、梅川と孫右衛門もお互いに舅・嫁だと分かっていながらもわざと名乗らず他人として別れていく(忠兵衛たちを見つけたら訴人しなければならないので、わざと他人のふりをしている。)。私はこちらの方が切なくて好きなので、歌舞伎の「新口村」はどうもなぁ…という感じでした。仁左衛門さん、雀右衛門さんは良かったんですけど、話自体が気に入らなかったです。残念。
早々と3月の歌舞伎座は全て観終わってしまいました。下旬に国立劇場の「加賀見山旧錦絵」を観るまではしばし休憩です。
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最終更新日 2004年03月11日 00時56分47秒
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