ねこっぽ雑記

ねこっぽ雑記

2006年04月29日
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 今度は歌舞伎以外の舞台の感想を。
 3月31日に、静岡市のグランシップで「朗読と音楽で綴る言の葉コンサート 坂東玉三郎が語る天守物語」という公演があり、思い切って遠征してきました。
「天守物語」は泉鏡花の作品で、姫路城の天守閣に住む妖女富姫と、姫路城の城主に仕える若き鷹匠姫川図書之助の恋物語。玉三郎さんが舞台で何度か演じられていますが、私は実際に観たことはありません。
 初めて「天守物語」を読んだとき、作品そのものがとても気に入り、同時に富姫の台詞が自動的に玉三郎さんの台詞として聞こえてくるような感覚がありました。それ以来いつか玉三郎さんの「天守物語」を、と思いつづけていたのです。
 公演ではなく朗読でというのは思ってもみませんでしたが、それぞれの役者がそれぞれの役を演じる舞台とは違い、完璧な、破綻のない玉三郎ワールドとして「天守物語」を味わうことができると考えると、これは行くしかないでしょう、と一念発起。関東に一番近い会場は静岡だったんですが、はるばる新幹線に乗って行ってきました。
 朗読そのものも面白かったんですが、素の玉三郎さんを観られたのも結構印象に残っています。歌舞伎役者であるだけに、化粧・鬘なしで舞台に立たれると緊張されるみたいで、それが何だかほほえましくて。素の玉三郎さんから物語の世界に入っていく玉三郎さんを目の当りにできたのもこの公演ならでは。
 あとは役者さんが舞台で演じるのではなく朗読という方法で表現するのは、ご本人にとってはなかなか不安なことなのかな、と。普段なら役者の動きや舞台面が説明してくれる部分を、今回はト書きなどで説明しなくてはいけないわけですから。これが玉三郎さんにとってはなんとも心許なく感じられたようで、朗読に入る前にかなり丁寧な解説がありました。
 そして朗読。当たり前ですが玉三郎さんが普段演じられている富姫はもちろんのこと、図書之助も女の童も腰元も山伏の格好をした朱の盤坊も姫路城の武士もみーんな玉三郎さん。特に朱の盤坊なんて絶対舞台では演じないでしょうから、これが聞けたのはある意味お宝モノでした。豪快ではないのだけれど、渋い魅力のある朱の盤坊でした。図書之助も「お勇ましい、凛々しい」という点では当然海老蔵図書之助の方が上ですが、その思いは玉三郎の感性を経た図書之助も惹かれるものがありました。
 富姫は私が思っていた印象とは違うところが結構あって、「ああ、こんな富姫もあるんだ」と。あとはたとえば間の取り方などに舞台人の朗読ならではの効果も感じました。二度と天守に登ってきてはならないと言われながら再び天守に登ってきた図書之助と富姫のやりとりの場面は一番引き込まれた箇所。ずっと耳に残しておきたい場面です。言の葉コンサートと題しているだけあって、藤舎名生さんの笛も入るのですが、この笛が物語の世界を広げたり、場面を印象付ける上で大きな役割を担っていました。遠征して大正解の公演でした。





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最終更新日  2006年04月29日 23時02分36秒
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