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April 15, 2004
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アメリカが今回、旧式の武器や手製の爆弾しか持っていないイラク人の蜂起を鎮圧できなかったことは、フセイン政権を倒して以来「世界最強の無敵の軍隊」と恐れられていた米軍が、実はそんなに強くないのだということを、イラクなど中東各国の人々に感じさせてしまった。

「力」と「正義」が一体化している中東では、この感覚の変化は重要だ。キーワードは「ファルージャ」と「サドル師」で、バグダッドでは「米兵士を見かけたら、背後から大声でファルージャ!と叫べば、彼らを恐れさすことができる」というジョークが流行っているという。

 アラブ諸国の人々は、1960年代まで「アラブの統一」「アラブ民族主義」の夢があったが、アメリカとイスラエルの軍事力によって粉砕され、諦めと屈辱感が残っている。こうした中、ファルージャとサドル師というキーワードは、イラクだけでなく中東全域に、新しいアラブ民族主義を巻き起こすかもしれない。アメリカが「テロリズムとの戦い」として開始したイラクの戦争は、ファルージャとサドル師という2つの「英雄」の登場によって、今や「ナショナリズムとの戦い」に変質した可能性がある。

 中東の一般の人々から見て、テロリズムは「悪」だが、ナショナリズムは「善」や「大義」である。アメリカに敵対する武装勢力が「テロリスト」に見えていた間は、大きな支持を受けにくかったが、それが「民族主義の英雄」に変質しつつあるのだとしたら、急速に広範な支持を獲得したとしても不思議ではない。

 アラブ社会は、中世に十字軍と戦ったサラディンや、エジプトを独立に導いたナセル大統領に象徴される「英雄」がアラブを率いて統一し、強大にする、という神話を持っている。イスラエルの軍首脳が恐れているのは、今後、サドル師やファルージャの「ムジャヘディン」(武装市民)たちがアラブ社会で英雄視され、それをキーワードにして急速にアラブが結束する一方、アメリカはイラク統治に懲りて内向き(孤立主義)になり、イスラエルは独力でアラブの敵対との対決を迫られる、という展開だと思われる。

 そうなるかどうかは、今後のアメリカの対応しだいだが、タカ派の米政府は、ファルージャとサドルを絶対に許さない、という姿勢を貫いている。この態度は、まさにファルージャの勢力やサドルをアラブの英雄に仕立てることを扇動してしまっている。





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Last updated  April 15, 2004 10:44:01 AM
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