健康コラム

健康コラム

PR

プロフィール

ニンタマ博士

ニンタマ博士

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2013年01月22日
XML
カテゴリ: 食事
 ナイシン、最初にその名称を見た際、ビタミン類のナイアシンの間違いではないのかと思ってしまった事が思い出されます。ナイシンはアミノ酸が複数に連なったペプチドと呼ばれる物の一つで、34個のアミノ酸からなるペプチドであり、乳酸菌の一種である「ラクトコッカス・ラクティス」が産生する物質として乳酸発酵によって作り出されています。

 日本では乳酸発酵が古くから食文化に採り入れられていて、代表的なところではなれ寿司や漬物、味噌やしょうゆなどに利用されてきています。乳酸発酵を行う事で風味や旨味が増すだけでなく、保存性が高まるという事も乳酸発酵が利用されてきた理由として上げる事ができます。

 乳酸菌は糖分を分解して乳酸と二酸化炭素を大量に発生させ、乳酸の働きによって食品を酸性にする事で腐敗菌や病原性菌の発生を抑えて、食品を安全に食べる事ができる状態を長持ちさせてくれます。乳酸菌の食品の保存性を高める働きは乳酸のみではなく、乳酸以外の物質も関与している事が知られるようになり、ナイシンは乳酸菌が創り出す抗菌物質として知られています。

 乳酸菌由来という事から乳製品との相性が良い事もあり、ナイシンはチーズやクリーム類などの保存料として使われ、多くの国で食品添加物として認可されています。日本では2007年に新たに認可されるようになり、それまでナイシンを含んでいるために輸入できなかった乳製品が輸入可能となり、これまで認可されていなかった添加物を含む食品が出回るようになったとして、攻撃的な論調の情報が多く出回った事は記憶に新しいところとなっています。

 最近の研究でナイシンの新たな効果として、ガン細胞に対して選択的に働き掛け、細胞死を誘発させるという抑制作用を持つ事が判ってきています。

 ナイシンをガン細胞に加えると細胞死に関する特殊なタンパク質が増加し、細胞内へのカルシウムの流入が増えて細胞死が誘導されます。健康な細胞ではなくガン細胞のみに選択的に働き掛ける事については、細胞がガン化した事によって細胞膜が変化し、ナイシンが作用しやすい状態が作られていると考えられています。

 ナイシンはすでに食品添加物として認可されている事から、今後、人への応用を含めた研究が進めやすい状態にあるとされ、新たな抗ガン剤の登場も近いと思えてきます。

 ナイシンは構造が複雑過ぎる事から、乳酸発酵によって作られたものを抽出するしか得る方法はありませんが、ヨーグルト作りと合わせてガン治療が進むというのも良いものだと思えてしまいます。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2013年01月22日 07時56分49秒
コメントを書く
[食事] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

カレンダー

コメント新着

舟橋美江@ Re:外国ライス(3)(06/07) ここで書かれていた「クスノキ屋」は、私…

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: