型をこよなく重んじるも、嵌ることをめっぽう嫌がる作曲家の日記
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家で夜会を開く際にいろいろと持ってきてくれます。予めわかると、はっきりこれとは言わずにどういうものを持ってきてほしいか伝えます。特に昔で言う「気の利く若者」って、言わなければいないと思います。本当に些細なものでいいのです。気持ちが入っているかの問題です。例えば、銀座貝新の「ふき椎茸柔らか煮」です。ふきもそうですが日本の土壌で育つ野菜、近海の海産物はヨーロッパのそれとは違って、湿度の高い土の匂いや磯の匂いが独特で多いと思います。ピーマン、人参、トマトなどどれをとっても匂いや味が強く、子供の好き嫌いの原因になりますが、それは日本のものだからとも思います。ふきも野性味の強いものだとそれが出やすくリスクが高いと思うのですが、それがなく柔らかくいい具合に味がついている状態、それがこの柔らか煮でした。ご飯にとてもよく合います。2品目は「穴子姿焼き」です。穴子は最近輸入ものが多く、当たり外れが出てきていると思います。そのため味付けや調理法もいろいろ増えてきているかもしれません。このせんべいは酒の肴としてもよく、香ばしくて美味しいものでした。ただ思ったのは、これを「姿焼き」と言えるのでしょうか。また袋の装丁が上等な雰囲気を醸しているように、開けてみると乾燥剤が分厚く重く肝心の姿焼きが少ないなあと感じてしまいました。これがいかにも日本的なのかもしれません。日本の何気ない美はたくさんあると思います。9月末に緑道の道端で見かけた彼岸花の鮮やかさは見入ってしまいました。また、多摩川にかかる丸子橋から見る風景は雄大で、なぜか空が大きく見えます。電車が走る様子も見えますが、古い街並みなどなくても長く眺めていられます。こういうのも日本の風情なのかもしれません。
2019.11.24
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