ご本人が、チャンドラーが好きである(「好き」って言葉じゃなかった気がする。ニュアンス変えちゃってるなぁ、ごめんなさい)とおっしゃってるだけあって、チャンドラー風のひねった言葉遣いがそこここで楽しめてよかったっす。そもそも、第一期シリーズの完結作という「さらば長き眠り」というタイトルからして、チャンドラーの「大いなる眠り」と「さらば愛しき女よ」と「長いお別れ」を彷彿とさせますもんね。ちなみに、ご本人がエッセイ集で、ハードボイルドとは、窮地に立ったときにどんな受け答えをするかで決まる、みたいなことを書かれていて、その例として、「大いなる眠り」の冒頭で、マーロウが少女から「背が高いのね」と言われて「僕のせいじゃない」と答える、ってのがあげられてるんですけど。これ、原文みたら、「I didn't mean to be.」(「なろうと思ったわけじゃない」くらいの意味?)だった。これを「僕のせいじゃない」と訳すのなら、その方がかっくいいかも、と思ったり(「大いなる眠り」は清水俊二氏ではなく双葉十三郎氏の翻訳ですけども)。