のぽねこミステリ館

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のぽねこ

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2005.06.04
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Heartbeat

~東京創元社~

 10年前。「僕」は、同級生のヤオと、10年後に会おうと約束していた。
 家庭環境のせいもあり、非行に走っていたヤオ。しかし「僕」は、彼女の優しい面も知っていた。だから。自分で生活を取り戻すことができたら、そのときは、一億円を渡すから、と。
 ニューヨークで暮らしていた「僕」は、約束の日が近づいていることに気づき、日本に帰国する。しばらく、ヤオのことは頭から離れていた。しかし、いろいろな出来事が重なり、僕はどうしてもヤオに会いたくなっていた。
 待ち合わせの場所、待ち合わせの時間。ヤオの代わりにやってきたのは、一人の男。男から「僕」は、ヤオが失踪したことを知らされる。

 内容紹介で、いきなり「一億円を渡す」なんてのを書いても、未読の方にはぴんとこないと思うが…。
 でこぽんさんのところで、本書が複雑な構造をしている、ということを読んでいたので、ついていけるかな、と思い、まとまった時間をとって一気に読んだのだけれど、正解だったと思う。
   *

 自分にとってとても大切な人が、殺された。犯人がどこにいるのか分からない。しかし、その犯人を捜す。必死に捜す。今の自分の生活を捨ててまで。復讐をするために。
 なかなか見つからず、時間ばかりが流れていく。そしてようやく、犯人の所在を知る。しかし、自分にとっては、大切な人を殺した憎むべき犯人なのに、他の誰かにとっては、とても大切な存在となっている。もしここでその犯人を殺せば、その人のおかげで命をつないでいる人々は、さらなる苦境へ追いやられてしまう。
 私は具体的にどういった議論がなされているのかよく知らないが、死刑の是非という問題にも関わってくるのではないか、という考えが浮かんだ。
 残虐な殺人を犯してしまった人がいる。しかし、そういう人でも、その後に、誰かの役に立ち、誰かに必要とされる存在になりえることは、決して否定できない。そう考えると、なんだかやりきれなくて仕方がない。
   *
 案の定、読みながら何度も涙した。意外な結末だったし、昨年自分が書いた拙い短編とある部分が同じで(小路さんの作品と比べるだなんて、恐れ多い、無謀もいいところであるが、その短編は文芸サークルの方に投稿はできないな、と思った)、ちょっと驚いた。
 読了後、表紙を眺める。小路さんの名前の下に、こう書かれている。"Can't you hear my heartbeat? Can't you hear my..." それを見て、ざーっと物語の流れが頭の中で蘇って、また泣いてしまった。





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Last updated  2005.06.04 12:10:45
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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