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2007.12.24
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扉の影の女

~角川文庫、1993年~

 金田一耕助シリーズの中編「扉の影の女」と「鏡が浦の殺人」の、二編が収録されています。久々の再読ですが、特に表題作は、ものすごく面白くてびっくりしました。
 では、内容紹介と感想を。

ーーー
「扉の影の女」昭和30年(1955年)12月。緑ヶ丘荘の金田一耕助のフラットに、夏目加代子が相談にきた。彼女はモンパルナスというバーにつとめているが、 12月21日未明に帰路についているとき、袋小路の方から出てきた不審な男にぶつかったというのだ。そのとき、自分が落としたと思い、落ちたハットピンを拾ったのだが、それには血がついていた。引き返し、袋小路の奥にあるお稲荷さんのところに行ってみると、そこには女の遺体があった。その女は、自分の恋人を奪ったタマキであった。自分は犯人ではないが、血のハットピンを手にしたこと、タマキの遺体を発見したことを言えば、自分が疑われるだろう。なんとか助けて欲しい―それが彼女の依頼だった。金田一耕助の関心をひいたのは、現場に落ちていたという紙切れに書かれた、「叩けよ、さらば開かれん」という言葉だった。
 ところが、タマキの遺体は、お稲荷さんから離れた、川で発見された。お稲荷さんのところでは、加代子が遺体を発見した翌朝、カシワが殺されており、現場の血をカシワと思った近隣の人によって、血がふきとられていた。
 事件の背後には、名の知れてきた若いボクサーや、産業界の大物なども関係しており、それぞれが、自分を救ってほしいと、金田一耕助に依頼にやってくる。

「鏡が浦の殺人」夏。休養のため、鏡が浦の望海楼に滞在していた金田一耕助は、気がかりな場面に出くわした。滞在客で、児童心理学の研究者である江川教授が、ホテルの屋上から浜辺を見ているとき、「読唇術」で、ある人物の言葉を盗み読みしたらしい。どうも、恐ろしい話をしていたようだったが…。

 そして、さらに凶行は繰り返され…。
ーーー

 「扉の影の女」は、事件自体は地味です。あいびき横町とも呼ばれる暗い袋小路にあるお稲荷さん。そこで殺されていた女性の遺体が、移動させられていた…。それだけといえばそれだけなのですが、金田一さんのもとへの依頼人の数も、金田一さんが依頼人たちを解決への自信から勇気づけたりすることも、なかなか珍しいのではないかと思います。利害関係が一部重なるところもある、複数の依頼人が、警察に犯人と目される前にいかに解決するか。「支那扇の女」にも登場する多門修さんが良きワトソン役をつとめるなど、面白いところが盛りだくさんでした。
 金田一さんへの等々力警部の配慮や、金田一さんの朝食の風景なども良かったです。謎解きよりも、金田一さん自身もふくめた人間模様がメインですね。
 クライマックスのある場面では涙ぐんでしまいました…。
(2006年12月20日読了)


*表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。





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Last updated  2007.12.24 06:59:28
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
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