第3章はタイトル通り、社会的身分に関する語彙についての分析です。上にも書きましたが、私は英語版でこの章は読んでいました。まさにフランチェスコが生きた時代、「身分別説教集」(sermones ad status)という、それぞれの社会的身分(聖職者、修道士、騎士、農民、商人、既婚者などなど…)にふさわしい説教を提供するための説教の範例集が誕生しました。私はその代表的な著者であるジャック・ド・ヴィトリという人物について主に勉強してきているのですが、その勉強の過程で本書の議論はとても参考になりました。ただ今回邦訳で再読してみて、いままでの自分の読みが浅かったことを痛感しました。まだまだ勉強が足りません…。 それはともあれ、本章では、家族というモデルがフランチェスコの理想であったという点が強調されています。