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2016.10.01
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Jacqueline Hamesse, Beverly Mayne Kienzle, Debra L. Stoudt, Anne T. Thayer (eds.), Medieval Sermons and Society: Cloister, City, University

 今回は、西洋中世の説教と社会を対象とした論文集、ジャクリーヌ・アメス他編『中世の説教と社会―修道院、都市、大学―』を紹介します。
 本書の構成は次のとおりです(章番号はのぽねこ補足。タイトルは拙訳)。

―――

まえがき(B. M. Kienzle)

第1部 修道院
[1-0]序論―修道院(D. Stoudt)
[1-1]ニコデモによる福音を説教する(Z. Izydorczyk)
[1-2]ヴェローナ聖書講話集とそのアイルランドとのつながり(L. T. Martin)
[1-3]Silos Beatusにおける悔悛の効能を説教する(J. R. Blaettler)

[1-5]「沈黙する」聖処女―マイスター・エックハルトとヨハネス・タウラーの説教におけるマリアのイメージ(R. D. Hale)
[1-6]ハインリヒ・ゾイゼの説教―聖書講話的伝統と真正性(D. L. Stoudt)
[1-7]中世初期ゲルマン文学算出の方法としてのcompilatio―福音記者ヨハネに関する逸名の説教と他説教集におけるその出現(A. Syring)

第2部 都市
[2-0]序論―都市(A. T. Thayer)
[2-1]都市における説教活動・都市と説教活動(P. B. Roberts)
[2-2]エリナン・ド・フロワモンの説教における都市に対するシトー会的見解(B. M. Kienzle)
[2-3]ジャック・ド・ヴィトリ『週日・通聖人説教集』の聴衆と典拠(C. A. Muessig)
[2-4]Corpus Delicti―ジャック・ド・ヴィトリの例話における死者の編纂(C. Ho)
[2-5]「汝自身を知れ」―批判、改革、『ヤコブの階梯』の聴衆(L. Carruthers)
[2-6]15世紀のボトルの中の5世紀の修道院のワイン(J. W. Dahmus)

[2-8]議論の中の多様性―教皇、民衆、コミューンを前にしたフィレンツェ大司教アントニヌスによる説教活動(P. Howerd)

第3部 大学
[3-0]序論―大学(J. Hamesse)
[3-1]中世大学の説教活動―規約における証拠(P. B. Roberts)
[3-2]大学就任説教におけるイメージ(N. K. Spatz)

[3-4]トマス・ブラドワーディンの『祝勝説教』―その政治的、神学的、司牧的重要性に関するいくつかの省察(E. W. Dolnikowski)
[3-5]オックスフォードでの説教活動―ウィクリフのラテン語説教サイクルにおける学術的・司牧的主題(E. W. Dolnikowski)
[3-6]大学と俗語説教―ウィーン、ハイデルベルク、バーゼルの事例(H.-J. Schiwer)

古代・中世著述家索引
現代著述家索引
写本索引
―――

 読んだ論考について、メモしておきます。

 各部の序論は、続く諸論考の明快な要約を示してくれていて、便利です。

 [1-4]は、シトー会士エリナン・ド・フロワモンの「被昇天の祝日」説教を分析し、旧約聖書続編のユディトが、マリアと同一視されていることの重要性を、その時代(12世紀)におけるマリア崇敬の高まりとの関連で論じています。

 [2-1]は、都市と(における)説教活動に関する概要となっていて便利です。都市や商人への眼差し、大学と都市民の衝突など、興味深い話題を提供してくれます。

 [2-2]は、[1-4]同様にエリナン・ド・フロワモンを取り上げ、彼の都市観を分析します。そこからは、都市、大学への批判的な態度がうかがえます。

 [2-3][2-4]は、晩年に枢機卿をつとめたジャック・ド・ヴィトリを取り上げます。[2-3]は、その『週日・通聖人説教集』の典拠を丹念に抽出し、また説教の内容の分析を通じて、想定された聴衆を明らかにします。[2-4]は、『身分別説教集』に収録された例話の分析により、死者の身体がいかに描かれているかを考察し、男性と女性の身体で描かれ方に違いがあることを指摘しています。ただ[2-4]は、最初のページに誤字脱字内容間違いが多く、非常に残念です。

 [2-8]は、アントニヌスが聴衆によって説教の状況や聴衆を非常に意識し、それに応じて説教の方法を変えていたことを示します。説教の構成の理論書である「説教術書」の内容を最初に見てから、説教史料の分析を通じて説教の実践を見ていくという構成もわかりやすいです。

 [3-1]は、いろんな大学の規約から、教師や学生に何が求められたか、といったことを明らかにします。具体的には、神学部の学生や教師には、説教を定期的に行うことが求められたということです。

 [3-2]は、特に、説教の形式で行われた就任講義の分析を行います。対象となる3人の就任講義を分析し、説教師に何が求められていたか、といったことを明らかにしています。議論の前半で、語彙に関する整理が行われているのも嬉しいです。

 以上、ざっとですが、関心のある論考について目を通してみました。





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Last updated  2016.10.01 17:17:53
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
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