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2016.12.17
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(島田荘司『島田荘司全集IV』南雲堂、2010年、427-681頁)


吉敷竹史刑事の先輩にあたる中村刑事が主人公の長編です。それでは、内容紹介と感想を。

―――
 1982年12月1日、雑居ビルの火災の中で、土屋という警備員が焼死した。土屋は、事件の際には、眠っており、上半身が焼かれていたという。働きぶりも真面目で、普段は睡眠薬も飲むはずのない土屋が、大量の睡眠薬を摂取していたことも不審な点だった。
 中村は、単なる放火とは考えず、自殺あるいは他殺の線があると見て、土屋の周辺を捜査していく。土屋には、結婚する予定だった女性がいたらしい。しかし、彼のアパートの一室を訪れると、部屋は整理されており、アルバムからも何枚も写真が抜き取られていた。同居していたらしいその女が、自分の痕跡を隠したのだ。ここに、俄然その女が重要参考人となる。中村は、名前も出身地も分からないその女にたどり着くべく、奮闘することになる。
 一方、その後も放火事件は繰り返される。多くは、ビルの資材置き場に火をつけられているのだが、奇妙なことに、火災の起こった時点では、その部屋は密室状況だった。
―――

 9年ぶりほどの再読。これは面白いです。
 前半は、最初の被害者と付き合っていたはずの幻の女を捜すスリリングさに手に汗握ります。
 後半では、連続放火を食い止めることができるのかどうか。そしてまた、犯人の動機が焦点になってきます。

 島田荘司さんの作品には、いくつか特徴的なテーマがあります。
・日本人論(→ 『御手洗潔の挨拶』 (講談社文庫、1991年)所収の「御手洗潔の志」と題されたあとがきは、とても印象に残っています)
・都市論(本書の他に、 『都市のトパーズ』 もこのテーマを扱っています)
また、関連して江戸論(→後に 『写楽 閉じた国の幻』 )
 以上の要素が、本書には詰まっています。
 あらためて、これは面白い物語です。
 全集あとがきの、本作執筆の背景も興味深く読みました。





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Last updated  2016.12.17 14:21:47
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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