~新潮文庫、 2000 年~
筒井康隆さんの長編です。
主人公は、フランス近代演劇史を専門とする元大学教授の渡辺儀助さん。 75 歳になる彼の日常が丹念に描かれます。その食事、買い物の様子、友人や親族との関係などなど、ひたすらに日常や思い出が語られていきます。
彼はパソコン通信をしているのですが、タイトルの「敵」は、パソコン通信の参加者のメッセージに登場します。北の方で「敵」が現れ、皆が逃げているというのですね。
はたしてそれはデマなのか、集団妄想なのか、現実なのか。
一方、渡辺さんの日常も、そのあたりから奇妙になってきます。夢なのか、幻想なのか、それらが現実を浸食しているのか……。
とてもゆっくりした流れが、終盤に一気に加速し、結末に向かっていきます。
正直、「分かった」とは言えない作品ですが、終盤ではぞくぞくきました。
購入してから、なかなか読めずにいたのですが、今回読めて良かったです。
・た行の作家一覧へ
知念実希人『祈りのカルテ』 2026.06.14
高田崇史『QED 天河伝説、桜舞い』 2026.02.14
俵万智『生きる言葉』 2025.12.29
Keyword Search
Comments