~幻冬舎文庫、 2014 年~
浦賀和宏さんによる長編です。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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糖尿病の妹、理菜が毎年参加しているキャンプから帰ってくると、来年からはキャンプに参加したくないという。イルカを見て、さわったと言うと、全員から嘘つき呼ばわりされてしまったのが、大きな原因という。
高校生の三枝敦士は、低血糖による幻覚ではないかという疑問も抱きながらも、妹の証言が正しいことを立証するため、妹の理菜と、優秀な同級生の飯野とともに、キャンプ先の群馬県の町へと向かう。
宿泊先の民宿の娘、ユカの協力を得て、敦士たちは調査を進める。
しかし、イルカを理菜とともに目撃したはずの、キャンプ場管理者の息子は北海道に出かけているといい、管理者の男も素っ気ない態度を示した。まるで、町全体で、イルカのことを隠そうとしているかのような疑いも捨てきれない状況もうまれる。そんな中、敦士と仲違いしてしまった理菜は姿を消してしまい……。
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これは面白かったです。町全体がイルカを隠しているようなのはなぜなのか、大きな陰謀があるのか、しかし一方で理菜さんの言葉は本当なのか、誰が味方で誰が敵なのか……。とにかくいろんなことが謎だったり不透明だったり、そんな中で懸命にイルカを探す敦士さんたちの姿に、手に汗握りながら読み進めました。
以下、少し反転。<ここから> 内容紹介は上記のところでとめましたが、その後紆余曲折を経て、意外な結末へとすすんでいきます。萩原重化学工業も関連してきて、まさかの展開でした。というんで、本書は純粋なノンシリーズの長編とは言いにくいところがあり、またその結末も好き嫌いが分かれるかもしれません。 <ここまで>
630 頁と分量はありますが、夢中で読み進めたので、案外早く読了しました。
今後も、浦賀さんの作品を読むのが楽しみです。
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