~講談社文庫、 1998 年~
学芸員の佐島才蔵さんと、妹で推理作家の楓さんが活躍する長編ミステリです。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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才蔵のつとめる高岩青十記念館で、特別展の準備に忙しくしている頃、放火未遂事件や、ねずみが焼かれている事件などが繰り返されていた。
妹に状況を話しながら、尊敬している館長に連絡をとるも、それから館長は才蔵にどこか冷たい態度をとりはじめる。
同僚と意見を対立させながらも、なんとか特別展は開催された。しかし、開催の日から旅行に出ると言っていた同僚―岡安鶴子の遺体が、青十旧邸から発見され、事態は急展開する。
青十コレクションの絵はがきを整理していたときに意見の一致したはずの絵はがきを、鶴子が勝手に差し替えたのはなぜか。三田館長の不審な動きの理由とは。
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これは面白かったです。タイトルと独特の表紙で、重たい話かと思いなかなか挑戦できていませんでしたが、同僚の鶴子さんや知佳さん、楓さんたちの軽快な会話や、才蔵さんによるツッコミなど、楽しく読み進めることができました。
また、記念館のある町の代表的な偉人である青十さんやその周辺について、その人となりや状況が少しずつ鮮やかに浮かんでくるのも良かったです。
ミステリとしては、鶴子さんがなぜ殺されたのか。その遺体が奇妙に移動させられていたのはなぜか、といったところが大きいですが、穏やかな鶴子さんが絵はがきを勝手に差し替えた理由など、物語を盛り上げる魅力的な謎も多いです。
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