~岩波新書、 2018 年~
池上俊一先生による、フィレンツェの通史です。イタリアの都市をとりあげ、その概要を描く新書という意味で、 『シエナ―夢見るゴシック都市』 (中公新書、2001年)と対をなす著作といったところでしょうか。
本書の構成は次のとおりです。
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はじめに
第1章 ローマの植民市とキリスト教の普及―前6世紀から9世紀
第2章 都市国家の誕生と発展―10世紀から14世紀半ば
第3章 中世の文化
第4章 ルネサンスの政治・経済・社会―14世紀半ばから16世紀初頭
第5章 教会と修道院・施療院
第6章 邸館とヴィラ
第7章 広場と街路
第8章 世界と人間に注がれる新たな視線
第9章 トスカーナ大公国時代―1532年から1860年
第10章 近現代の苦悩と輝き―1861年から
あとがき
主要参考文献
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細かい紹介は省略し、何点かメモしておきます。
不勉強ながら、濫觴(らんしょう)という言葉を本書ではじめて見ました(他で見たことがあるかもしれませんが、意識してなかったようです)。物事のはじまり、起源、といった意味のようです。池上先生は一般向けの書物も多く出されていますが、難しい言葉も割と使われているので、勉強になります。
イタリアのコムーネ(自治都市)について、「コムーネは…一方で都市民化した農村貴族、他方で商人・職人の両者の力で作り上げられていったのであり、北方ヨーロッパのコミューン運動のような平民と領主との激しい闘争を経ることはなかった」 (27 頁 ) とあります。一方、 河原温『都市の創造力』岩波書店、 2009 年 、 99 頁に、「コミューン運動が都市領主に対する武力をともなう反乱的性格を示した事例は、 1112 年のランの場合などが例外的に知られているにすぎず、コミューンの大半は実際には司教や伯など聖俗の都市領主側の勧奨によって形成される場合がはるかに多かった」とあるように、近年ではコミューン=闘争というイメージが相対化されているようです。本書の記述は、コムーネの成立に闘争を経ることがなかったことを強調するための表現とは思いますが、少し気になりました。
さいごに、修道士の役割として、公共建築事業への関わりがあったという点が興味深かったです。「フィレンツェではシトー会やウミリアーティ会の修道士が市壁建設を任されたが、彼らは進んだ技術で建設を主導する以外に、当局からお金を受け取り労働者に支払う役目を担った」 (110 頁 ) というのですね。
以上、完全に覚書となってしまいましたが、このあたりで。
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