有栖川有栖『カナダ金貨の謎』
~講談社ノベルス、 2019
年~
火村英生&作家アリスシリーズにして、国名シリーズ第 10
弾にあたる短編集です。短編、中編あわせ5編の作品が収録されています。
それでは、簡単にそれぞれの内容紹介と感想を。
―――
「船長が死んだ夜」
元船長で地域の何でも屋のような男が殺された。評判は良かったが、女性関係で一部問題があったというが…。また、現場からポスターがはがされていたのはなぜか。
「エア・キャット」 愛猫が亡くなった後も、その猫が生きているかのように過ごしていた男が殺された。被害者がなくなる前の足取りを探るのに難航していたが、火村が偶然(?)手掛かりを見つける。
「カナダ金貨の謎」 俺が、メイプルリーフ金貨のペンダントを肌身離さず付けていた楓を殺した後、思わぬ事態が発生。旅行に出ていたはずの、彼と同居している女性が、旅行をキャンセルし帰ってきた。パニックになった彼女から電話を受けた俺は、成り行き任せに対応することにするが…。大きなミスは犯していないと考えていた男の犯行を、火村はどう暴くのか。
「あるトリックの蹉跌」 火村と有栖川が出会った日、有栖川が書いていたミステリを読んだ火村は見事犯人を言い当てる。
「トロッコの行方」
ネイルサロン経営を夢見ていた女性が、歩道橋から突き落とされて殺された。愛人(恋人)に大金の援助を求めていた矢先のことだった。愛人のほか、動機をもつ数名の人々に、火村は聞き取りを進めていく。誰もがそれなりのアリバイを持っていそうだったが…。
―――
はがされたポスターの謎、現場から金貨が持ち去れていた理由、動機をもつ人々と、3編の中編には中核となる謎があり、それが暴かれていくのは毎度ながら鮮やかです。2編目、4編目はボーナストラックといったところでしょうか。猫好きの火村先生についてのあるエピソードと、二人の出会いが描かれています。
安心して楽しめるミステリ短編集です。
( 2020.11.13 読了)
井上真偽『引きこもり姉ちゃんのアルゴリ… 2026.06.06
歌野晶午『首切り島の一夜』 2026.05.31
大下宇陀児『烙印』 2026.05.06
Keyword Search
Comments