江國香織『号泣する準備はできていた』
~新潮文庫、 2006
年~
江國香織さんによる短編集。直木賞受賞短編集です。 12
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
―――
「前進、もしくは前進のように思われるもの」
夫が、母親から引き取っていた猫を捨ててしまった。夫のことがわからなくなってきた弥生は、それでも、かつてホームステイでお世話になった女性の娘を迎えに行く。
「じゃこじゃこのビスケット」
17
歳の夏の、決して楽しくはなかったデートの思い出。
「熱帯夜」
「行き止まり」にいる、2人の女性。私は、世界が2人だけだったらと考えるが、彼女は少し社交的で…。
「煙草配りガール」
知り合い夫婦とともに、私と夫はバーで話していた。二人のケンカが堂々巡りする中、私たちは思い出話を出してみたりする。
「溝」
離婚を決めた妻と実家に戻った男。実家ではまだ離婚については話しておらず、独特の空気の中で時間が過ぎていく。
「こまつま」
こまごまと家族のために動くので「こまつま」あるいは子どもたちからは「こまはは」と呼ばれる美代子は、お気に入りのデパートで、傲然と歩く。学生時代に恋した男にみられているかのように。
「洋一も来られればよかったのにね」
私は、夫の母との旅行をはじめて、毎年同じ時期に同じ宿に泊まる。かつて愛した男を思い出しながら、予想される「あした」のことを考えながら。
「住宅地」
学生たちを眺めるのが好きな運転手。夫が浮気しているのに気付いている妻。そして、犬の散歩をしていたその女性に世間話をする男。
「どこでもない場所」
私は、友人と、名前を思い出せない男と、雇われマスターとで、バーで話をする。それぞれの恋の思い出などを。
「手」
妹に電話でいろいろ愚痴を話した後、妹が私の男友達に勝手に連絡をし、その友達がとつぜん訪問してきて、料理をしてくれた。そんな、予期せぬことにわずらわされた1日のこと。
「号泣する準備はできていた」
イギリスで出会った男と別れてからも、男からは連絡がある。その日は、男が見た象徴的な夢の話を聞かされた。その後、文乃は、姪をヴァイオリン教室に連れていく。様々な思いを抱きながら。
「そこなう」
私は、男の離婚をずっと待っていたはずだったのに、男からの告白で、何かをそこなったことに気づく。
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久々の再読。
さて、本書の中で印象的だったのは、「住宅地」。知り合いではない3人の生活の一部が描かれます。なんというか、「そうよな」と思う描写が心に残ります。
久々に、印象に残った言葉をメモしておきます。(色反転)
「 自由とは、それ以上失うもののない孤独な状態のことだ。
」(「手」 178
頁より)
(2020.12.15 読了 )
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