エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ (
和田愛子訳 )
『ラングドックの歴史』
~白水社文庫クセジュ、 1994
年~
Emmanuel le Roy Ladurie, Histoire du Languedoc
, Presses Universitaires de France, 1962
南仏で話されていた「オック語」の地域を意味する、ラングドック地方の、旧石器時代から現代( 20
著者のエマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ (1929
- 2023)
は、アナール学派第3世代に属する歴史家です。多くの著作があり、邦訳もありますが、本ブログでは、次の著作を紹介したことがあります。
・ E・ル=ロワ=ラデュリ (
樺山紘一他訳 )
『新しい歴史―歴史人類学への道― [
新版 ]
』藤原書店、 1991
年
・ エマニュエル・ル=ロワ=ラデュリ (
稲垣文雄訳 )
『気候の歴史』藤原書店、 2000
年
・ エマニュエル・ル=ロワ=ラデュリ (
稲垣文雄訳 )
『気候と人間の歴史・入門【中世から現代まで】』藤原書店、 2009
年
・ エマニュエル・ル=ロワ=ラデュリ (
稲垣文雄訳 )
『気候と人間の歴史I―猛暑と氷河 13
世紀から 18
世紀』藤原書店、 2019
年
著名な『モンタイユー』は過去に読んでいますが記事を書けていません。
原著刊行が 1962
年ということで、著者にとって最初期の著作です。
本書の構成は次のとおりです。
―――
第1章 起源
第2章 中世の最盛期
第3章 ペスト、戦争そして危機
第4章 近代の最盛期
第5章 大不況
第6章 成長
第7章 二十世紀の諸問題
訳者あとがき
参考文献
―――
本書の目的や意図などの記述はなく、いきなり本論から始まります。
各章の紹介は省略しますが、興味深かった点をいくつかメモしておきます。
まず、第2章からは、ラングドック地方で二元論のカタリ派が流行した理由として、当地では、徹底的な修道院改革が欠如していた (45
頁 )
ことを指摘しています。
第4章では、宗教改革後にカトリックとプロテスタントの間に生じた宗教戦争に関して、トゥールーズではカトリックの一分派が残虐行為に嫌悪感を示したこと、またカトリックでありながら役職保持のため改革派と同盟を結び、改革派の長に祭り上げられた人物の事例などが紹介されていて、興味深いです(カトリックとプロテスタントの対立という単純な構図だけでは読み解けないことがあるという戒めのように捉えて読みました)。
その他、パリやフランスという国全体との関わりでのラングドックの立ち位置が描かれています。
かなり流し読みになってしましましたが、 150
頁程度の読みやすい分量でもあり、ラングドック地方の事例研究としては出発点になりえる1冊と思われます。
(2025.03.27 読了 )
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