歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』
~文春文庫、 2007
年~
歌野さんによるノンシリーズの長編。非常に話題になった作品ですね。
2007
年の単行本版の記事をほぼ再録)
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主人公の俺―成瀬将虎は、警備員、パソコンの講師など、いろんな仕事をしていた。自称、「なんでもやってやろう屋」である。
成瀬さんはフィットネスクラブに通っているが、高校生の後輩・キヨシから、相談事をもちかけらる。キヨシが気になっている女性、愛子が、クラブに顔を見せなくなったというのだった。愛子のもとを訪れると、家族が交通事故で亡くなったという。
しばらくして、愛子が俺に相談事をもちかける。亡くなったおじいさんは、健康をうたい水や布団を高額で売りつける蓬莱倶楽部に殺されたのではないかと思われる、蓬莱倶楽部について調べて欲しい、という。おじいさんは既に、蓬莱倶楽部の商品を 5000
万円も買っていたのだった。
愛子から相談を持ちかけられた日、俺は一人の女性と再会する。以前、線路に飛び込んで自殺しようとしたところを俺が助けた女性―麻宮さくらである。その日から、二人はときどきデートするようになる。俺は、平行して蓬莱倶楽部の調査も進めていく。
―――
これが、物語の主軸です。ときどき、蓬莱倶楽部に関する章が挿入され、それが主軸を補強する軸だとすれば、いうなれば別の軸の物語も挿入されています。成瀬さんは高校卒業後、探偵事務所で働くことになるのですが、その際、暴力団に潜入捜査することになるのです。こちらは、クスリを運搬中に何者かに襲われた組員が、その夜、腹をめった刺しにされた状態で死んでいた、という謎があり、その解決の方もスマートで面白かったです。
2007
年に単行本版の記事を書いて以来ですので、 18
年ぶりの再読です。
物語の主軸となる仕掛けは忘れたくても忘れられませんので、その点は伏線の妙を味わいながら、一方で忘れていた謎もあり、あらためて新鮮な驚きも味わえました。
良い読書体験でした。
(2025.10.17 読了 )
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