島田荘司『改訂完全版 水晶のピラミッド』
(島田荘司『島田荘司全集X』南雲堂、 2026
年、 321-785
頁)
御手洗潔シリーズの長編です。
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1986
年、アメリカ・ルイジアナ州にある、ビッチ・ポイントという岬。そこから日本橋と呼ばれる橋を渡ったところに、エジプト島と呼ばれる島がある。この島には、ギザのクフ王のピラミッドそっくりのピラミッドがあった。大きさは同じ。ただし、下半分は本物のように石で作られているが、上半分はガラスで作られていた。
このピラミッドを舞台に、レオナ松崎主演の映画のあるシーンが撮られることになった。ピラミッドの設計者の弟、リチャード・アレクスンがレオナに出会い、その映画の話を聞いて、この場所を提供してくれたという経緯があった。
シーンの設定のため、激しい嵐の夜、撮影が行われた。その際、レオナは、まるでエジプトの「死者の書」に出てくるアヌビスのような、犬のような頭をした人間を目撃していた。そして翌日。水晶のピラミッドのすぐそばに建っている塔の最上階で眠ったリチャードが、なかなか部屋から出てこなかった。部屋は、内側からドアがかけられており、窓からも出入りはできず、その部屋は密室状態だった。さらに日付が変わろうとする頃、映画スタッフの判断で部屋をあけると、リチャードが奇妙なかっこうで死んでいた。後の検死により、彼は溺死していることが分かった。塔の最上階―七階―で、密室状況の部屋の中、男が溺死していたという不可解な状況だった。
警察の捜査は難航し、映画撮影も停止させられた。そこでレオナは、一刻も早く事件を解決すべく、御手洗潔のもとへ解決の依頼へと訪れる。
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ノベルス版の記事を公開したのが 2006
年8月 28
日。その時点で「数年ぶりの再読」とメモしていましたが、今回は約 20
年ぶりの再読です。そして、やはり面白かったです。
本作では、古代エジプト、タイタニック号事件が交互に語られ、やがて現代( 1986
年)の事件についての描写、と展開していきます。前回の記事同様、エジプトのシーンが好みでした。
事件では、不可解な状況という魅力的な謎に、論理的な解決と、ミステリの醍醐味が詰まっています。
撮影が中止され、動きがとれなくなったときの、レオナさんが御手洗さんを信じる思いには胸を打たれます。
(2026.07.19 読了 )
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