サルデーニャの海と風と

サルデーニャの海と風と

1990年 まあと私の仲


オーストラリアの東側に滞在する約300人の留学生が6台のバスに乗り込んで、2週間の旅をした。

シドニーから出発し、アデレードまで南下してそこから北上、エアーズロックを通り抜けてブリスベン、
そしてシドニーまで帰るというルート。  バスの中ではギターとともに歌を歌ったり、ゲームをしたり、
一度は雹に見舞われてしばらく道端に止まっていなければならないようなこともあった。
一日に何時間も走り、たまに止まってオパールの発掘を見たり、映画“クロッコダイル・ダンディー”のバーを見学したり。

アリス・スプリングスに数日滞在していたある一日、私たちは長い列を連ねてエアーズロックを登った。
頂上ではノートに記帳し、雄大な景色に感動し、その後小型飛行機でエアーズロックとマウント・オルガを空から眺めた。

つかれきった私は夕方キャンプ場に帰ると、テントをシェアしていたMに“疲れたからちょっと寝る”
といってスリーピング・バックへもぐりこんだ。 
テントの外ではMやほかの子たちがエアーズロックはどんな風にしてできたとか、今日は人生で最高の日だったとか話している。
もっと向こうでは誰かがギターを弾いてビートルズを歌っている…

ふっと、寒気をほほに感じた。

テントの中で寝てるのに、なんだか冷たい空気を感じる。
変なの。 Mがテントを開けたのかな…

顔が寒い。 誰かが遠くで笑ってる。

なんか変な感じ。 目を開けた。

星?
テントの中に、星?
と、突然誰かが顔を突き出した。 笑ってる。
まわりで、“キャーははははは”と女の子たちが喜んでいる。

顔を少し起こすと、ずーっと向こうにキャンプの明かりが見えた。
私の周りには何もない。
何が起こったのか理解するまでに5分近くかかった。

“マットレスごと外に運ばれた?!”

なんで?
誰が何のためにこんなことするわけ?
ま、そんなこたぁどーでもいいか。 楽しみのためにやったんだろうし。
私はMに手伝ってもらってスリーピング・バックから抜け出し、ギターで歌っている塊のほうへ行ってその夜を過ごした。

そしてこの悪ふざけを企画・実行した犯人がまあだということを、数年後になってはじめて知ったのである。


つづく

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