存生記

存生記

2009年10月19日
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「つばさ」(1927)のDVD。空中戦を描いたシーンで有名なアメリカ映画。たしかに迫力がある。どうやって撮ったのかと思わせる演出。危険極まりない撮影だったと推測する。リンドバーグの大西洋横断の当時の熱狂もあって大ヒットした。

サイレント映画なので、軽快な音楽に講談調の語りがついているせいか、凄惨な場面もあるがどこか牧歌的な風情が漂っている。ロマンチック・コメディの要素もあるストーリーだからだろう。戦争がらみのラブストーリーは、兵士と故郷で待つ恋人という湿っぽいものが多いが、この映画ではヒロインは自動車部隊に入って活動する。

「活動」はしても「活躍」はしないのが、戦争映画の紋切り型というべきか。ベトナム戦争では女性だけのベトコン部隊は男以上の残虐な優秀さを発揮したそうだが、「つばさ」ではヒロインはドジで明るい田舎娘を演じている。工場であれ、自動車部隊であれ、戦争によって女性の社会進出が高まったのは事実だろう。

別の女性をめぐって親友だった二人の飛行士が仲違いし、戦場で悲劇的な結果をもたらす。誤って味方を殺してしまうという悲劇にもかかわらず、最後は強引にハッピーエンドにもっていく。つまるところ、出自や立場の異なるアメリカ人同士が戦争で団結する映画でもある。若い頃マッカーサーはウィルソン大統領に各州の兵士を集めた混成部隊の編成を提案し、その師団は「レインボー」と名付けられた。

休暇中は、パリで美女に囲まれながら美酒に酔いしれるシーンもある。この映画を見たアメリカの若者は、空中戦やヨーロッパへの幻想をふくらませたに違いない。





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最終更新日  2009年10月19日 13時58分50秒


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