存生記

存生記

2010年02月22日
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「アバター」を新宿ピカデリーで見る。お宝を手に入れるために異星人とどう交渉するか、あるいは叩きつぶすか。軍人と科学者とビジネスマンがそれぞれ頑張った結果、悲惨な事態に至る。今回の悪役は、ナチスでも共産主義でもイスラム過激主義でもなく宇宙人でもなく、海兵隊が象徴する地球人である。エコロジーにとって最大の敵は人間だということは誰もが勘づいている。

車椅子の若者がアバターという化身を使って異星人とリンクする。異星人の共同体に溶け込むべく、異文化や掟を学ぶ。そういったフィールドワークのなかで、ラブストーリーもあれば、迫力ある戦闘シーンもあって長尺を感じさせないほど退屈しない。飛翔や疾走の場面は、映画館ならではの臨場感を体感させてくれる。横溢する生命力が最新の技術で描き出されている。悪役の「ターミネーター大佐」も憎らしいまでにタフだ。

最初に宣伝でみたとき、異星人のヴィジュアルにかなり違和感があったが、これは必要な違和感だった。異質なものは当然のごとく違和感や齟齬を伴うからである。特殊な触手でしかるべき手続きをふめば相互理解できてしまう。素朴なまでに簡単なことなのだが、海兵隊と異星人の衝突は避けられなくなる。

それにしてもアメリカ軍よりも強い野生動物がいて良かった。ご都合主義といえばそうかもしれないが、そうでもしないと後味の悪い映画になる。いくら肉体が強靱でも弓矢で機関銃や重火器に対決して勝てるわけがない。

リンクするためには眠らなければならないという設定もおもしろく寓意に飛んでいる。世俗の理性的な思考の袋小路から脱却するには、夢想に頼らなければならないようだ。





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最終更新日  2010年02月26日 02時03分24秒


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