存生記

存生記

2010年05月20日
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「アリス・イン・ワンダーランド」の3D字幕版を新宿で見る。成長したアリスが不思議の国の体験にどう決着をつけるのか。そういう問題設定なので、荒唐無稽なワンダーランドは卒業すべき記憶の国に過ぎない。ジャンヌ・ダルクのように勇ましく敵と戦って帰還してみると周りの男連中がいかにも頼りない。外資系企業で経験をつんだカツマー状態のアリスは、金儲けの上手なおじさまと意気投合する。中国という新天地目指して仕事に打ち込むキャリア・ウーマンのアリスの誕生である。

 というわけでこれは小説のほうに軍配をあげたい。3Dを生かすためのアクションシーンもヒロイック・ファンタジー仕立ての展開も新鮮味に欠けるように感じた。巨費を投じて大スターをキャスティングした段階でおそらく制約が多すぎるのだろう。二時間でできるだけ多くの人を楽しませようとしてそつのない展開に走るのである。

 成長や成熟というテーマは、若い人には共感できるかもしれないが、こちらにしてみれば退屈な話。幻想的でナンセンスなフィクションは、常識や道徳などものともしない話であってもらいたい。物わかりがいいだけの成長や成熟が世界にどんな帰結をもたらしたのかは説明するまでもないだろう。もっともストーリーなどたいして重要ではないのかもしれない。原作との違いや目配りを楽しみ、お気に入りのキャラクターが見つかればそれなりに満足するのかもしれない。





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最終更新日  2010年05月21日 01時45分40秒


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