元八重樫東選手後援会速報

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oak80jpn

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Dec 21, 2023
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カテゴリ: プロボクシング
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/fight/2023/12/21/post_54/
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井上尚弥を鍛え上げる八重樫東と鈴木康弘 ふたりに白羽の矢が立った理由と効果とは?
2023年12月21日 10:15 公開
本間 暁●取材・文 text by Homma Akira
山口裕朗●撮影photo by Yamaguchi Hiroaki
見る者多くを驚嘆させる比類なきパフォーマンスは、日頃の鍛錬があるからこそ。そして今の井上尚弥のフィジカル面を2年前からつくり上げているのが八重樫東と鈴木康弘というふたりのトレーナーだ。共にこれまでの経験で得た叡智で、時に「怪物」を追い込むことで井上の潜在能力を引き出してきた。
12月26日、マーロン・タパレス(フィリピン)とのスーパーバンタム級王座4団体統一戦(東京・有明アリーナ)を迎える井上尚弥の凄さは、どこにあるのか。ふたりのトレーナーの視点から語ってもらった。







「井上尚弥・解体新書」前編
【モンスターを追い込むふたりのトレーナー】

 無呼吸状態で、一発一発をしっかりと強打するサンドバッグ連打。「尚弥のあんなに疲れた姿を見るのは初めて」と大橋秀行会長も驚きを隠さない。あの井上尚弥が渾身のパワーでぶん殴り続けるのだから、負荷のかかり様は推して知るべし、だろう。
 試合はおろか、どんなにキツイ練習でさえも、歯を食いしばることこそあれど、辛い表情すら見せるのを拒否してきた。そんな"気合の男"の意地とプライドが、いともたやすく果ててしまう。
「はいはい、まだまだ!」
「もっともっと!」
 前から後ろから、拍手で連打のテンポを煽り、ジム内に響き渡る大声で檄を飛ばす。井上尚弥が苦しむ姿を眺めながら、「してやったり」とばかりに満足気な笑みを浮かべる。
 八重樫東(40歳)と鈴木康弘(36歳)。拓殖大学の先輩後輩、それぞれ162cm、186cm好対照の体躯を持つ両トレーナーが現在、尚弥、その弟・拓真、従兄・浩樹という"井上トリオ"のフィジカルトレーニングおよび、試合前合宿の指揮を執る。
【週2回の"八重トレ"効果】
「尚弥に最も殴られた男」と苦笑交じりに自虐的に語る八重樫トレーナーは、ミニマム級、フライ級、ライトフライ級の世界3階級を制した名チャンピオン。日本王者から最初に世界王座を獲得した頃、まだプロデビュー前の高校生だった尚弥と火の出るようなスパーリングを開始し、それ以来の付き合いとなる。
 現役時代、自らの体を「実験台」と称し、名だたるフィジカルトレーナーの下で体を苛め抜き、そのノウハウを体に刻み込んできた。引退後も、ボクサーだけでなく著名な格闘家、武道家も多く集う野木丈司氏の階段トレーニングに参加し続け、「動ける体づくり」に勤しんでいる。尚弥のボクシングを、身をもって熟知している人物で、「トレーニングをやって見せることのできる人」という父・真吾トレーナーが望む絶対条件にも適う。
「サプリメントやコンディショニングの知識も豊富ですし、 "階級を上げて戦う"ことも知り尽くす人」(尚弥)に白羽の矢が立ったのは、2021年11月のこと。明言こそ避けているものの、尚弥はおそらく、この頃からすでにバンタム級を維持することがかなり困難だったのだろう。
「ここから上の階級は、骨格などのフレームが違ってくる」(尚弥)という意識、そしてさらにチャレンジしていこうという意志と覚悟、その表れだったと推察される。

 井上トリオは、八重樫トレーナーが作成するフィジカルトレーニング、通称"八重トレ"を週2回こなし続けている。効果はてきめんで、見た目もさることながら、いわゆるインナーマッスルが分厚くなった。
 尚弥も実戦を通して、"八重トレ"の手応えを感じ取ったのだろう。当初は「バンタム級のように、スーパーバンタム級にフィットするのにも4、5年かかるかも」と語っていたが、これについて口を閉ざすようになった。
 今年7月に尚弥とスーパーバンタム級の統一戦を戦ったスティーブン・フルトンは、「フィジカルを活かすスタイルの選手ではなかった」と尚弥は言うが、同級では大柄で1階級上のフェザー級転向も視野に入れていたフルトンのクリンチを弾き飛ばすシーンもあった。距離と間合いを巧みに操り、さらに世界でも稀有のパワーを発揮する強打の持ち主だけに、相手はクリンチすら選択できない。それもまた"ナオヤ・イノウエ"の特長だが、クリンチに成功しても吹き飛ばされてしまうのでは、対戦相手はもうお手上げ状態だ。
(つづく)
◆後編 井上尚弥のパンチングパワーの秘密

「井上尚弥・解体新書」後編
【パンチングパワーの秘密】
「スーパーバンタム級でも井上尚弥のボクシングをさせること」。これがいちばん大切なのだと八重樫東トレーナーは言う。
「勝つためのフィジカルを作る=体を大きくする、当たり負けしない、ことじゃないんです。ボクシングはコンタクト競技ですが、接触しない時間の方が長い。そこでフィジカルを(うまく)使えばいいんです。尚弥はジャブがうまい相手にも(ジャブの)差し合いで負けない。彼の足があれば、出入り(相手との距離を詰めたり離れたりすること)できるスピードがあるし、当てる感覚もある。そこのフィジカルを強くすればいい。出入りの連動性やストップ&ゴーのスピード。それが強いのが井上尚弥ですから」(八重樫トレーナー)
 モデルは、あのマニー・パッキャオ(フィリピン)。フライ級からスーパーウェルター級までの10階級を股にかけた6階級制覇の歴史的王者だ。パッキャオは、階級を上げていってもスピードを失うどころか逆にアップさせ、なおかつ強打もいかんなく発揮した。そして、井上尚弥もまた、まったく同種のボクシングを体現している。
 今年初め、スーパーバンタム級に階級を上げることを機に「尚弥の強みと弱みをしっかり認識するため」、八重樫トレーナーは知己のアスリート研究チームに尚弥の『走る』『体を捻る』、『ダッシュする』等のフォーム映像を基に動作解析を依頼。そこで驚異の事実が判明したのだという。
「尚弥がなぜ強いパンチを打てるか。例えば、硬いゴムやチューブを捻っていくと反対側にブルンって反動で回りますよね。その動きが尚弥の体の中で起こっているそうなんです。具体的に言うと、足からの連動です。床をドーンって踏み込んだ力を足首、ふくらはぎ......と上にどんどんパワーが移動していく過程で、回転する筋肉が関節に突き当たるごとに逆回転を起こして大きな渦となっていき、最終的に上体から拳へと巨大化したパワーが伝わっていく。
 ひねる、ねじる。これは"回旋競技"のボクシングの体の使い方としてとても大切ですが、その力こそが彼のパワーの源なのです」
【5階級差も乗り越える】
 今年5月から正式にジムトレーナーとして加わった鈴木氏は、2012年ロンドン五輪ウェルター級の日本代表。地元・札幌で後進の指導にあたっていたが、「浩樹のトレーニングを見てもらえませんか?」と尚弥から直々に誘いを受けて一念発起した。高校時代の尚弥とは、全日本メンバーとして寝食を共にした間柄で、浩樹は拓大の後輩でもある。
 当初こそ浩樹へのマンツーマン指導をしていたが、そのバラエティに富んだメニューに八重樫トレーナーが着眼。「マンネリにならないよう、常に新しいことをさせたい」という意思に基づき、"八重トレ"やジムワークとの連動トレーニングを共有するに至った。井上トリオのみならず、4回戦の選手も含め、誰彼構わず巻き込んでいる。ジム内には野獣の咆哮や悲鳴が轟くが、選手たちは「めちゃめちゃキツイけど、良い練習です」と心地よさげに大量の汗を流す。ウズベキスタン、カザフスタン、キューバなど、アマチュア大国が行なっているトレーニングメニューが礎なのだそうだ。
「自衛隊体育学校時代の師匠、本博国監督に現役時代、僕が課されていたメニューなんです。僕は6、7セットやっていたんですが、八重樫先輩は『じゃあ10セットやらせよう』って(笑)」
 尚弥は高校時代から「パンチ力もフィジカルもバケモンだった」と振り返るが、久しぶりに会った彼には腰を抜かすことの連続だという。
「バランスボールをお互いの間に挟んで押し合うメニューがあるんですが、フィジカルに自信のある僕が負けてしまう。どれだけ足腰が強いんだ......って」
 スーパーバンタム級(53.53kg~55.34kg)vs.ウェルター級(63.51kg~66.68kg)超。5階級差。普通では"ありえない"話だ。
 6歳からボクシングを始め、今年で25年目を迎えている井上尚弥。彼が、いまもなお最も大切にしているのが「フォーム」である。
 足先から指の先まで、数センチ単位で美しさにこだわる。シャドーボクシングで入念にチェックし、自分にとって正しいバランス、タイミング、角度で、打っては動き、を丁寧に繰り返す。その姿は名工の鉋削りのごとき職人技。何度見ても、吸い込まれてしまう。
 そしてもうひとつ。彼には強いこだわりがある。
「たとえばパンチ一発や腕立て伏せ1回にしても、ひとつも無駄にはしたくないんです。だって、それが1度の練習、1週間、1カ月、半年、1年......って時間が経過すると、そのたった1度をしっかりやらなかった人との差って、ものすごく開いてしまうから」
 尚弥が昔から常々語ってきた言葉だ。裏を返せば、彼は1度たりとも無駄にしてこなかったという宣言でもある。この積み重ねこそが、"モンスターたるゆえん"なのだとつくづく敬服する。
「当たり前のことを当たり前にやる」
 最も困難で、尊いことである。

プロフィール
本間 暁 (ほんま・あきら)
1972年、埼玉県生まれ。専門誌『ワールド・ボクシング』、『ボクシング・マガジン』編集記者を経て、2022年からフリーランスのボクシング記者。WEBマガジン『THE BOXERS』、『ボクシング・ビート』誌、『ボクシング・マガジン特別号』等に寄稿。note『闘辞苑TOUJIEN』運営。





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Last updated  Dec 21, 2023 04:00:36 PM
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