桐まみれの日々 by さきさん

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さきさん1850

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2009年01月07日
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おいたち の筆耕がネットの画面に掲載されているサンプルとひどく違うと立腹されたお客様があったのです。直接のお客様ではなく、ある代理店さんを通じてのお客様ですが、対応された方が、本当に狼狽した様子で連絡を入れてこられるほどのご立腹だったようです。
 小箱への筆耕者は私の母で、母はその資格を特に持っているわけではありません。その資格も持たない母が、小箱への筆耕にあたるようになった理由は、このおいたちの小箱を立ち上げた時点で、私の中に、この箱に一人ひとりの子供達の名前を綴って届けたい。そして、その筆耕にあたって貰うのは母しかいないと言う思いがあったからです。
 なぜなら、恐らくそれは子供なら誰でもそうでしょうが、幼稚園や小学校の頃、学校に持っていく色々なものに書かれた母の手による私の名前が本当に大好きだったからです。母の書く私の名前が大好きであったことは、それを書く母という人が大好きであったからでもあります。いつも穏やかで、柔らかで、それでいてユーモアがあって、料理が上手で、頑張り屋で、何より子供を認めてくれる母です。
 現在の母は、日蓮宗の寺のお庫裏さん(住職の妻)として、筆を揮う機会が多く、筆慣れていると言った方が良いのかもしれませんが、その境遇に置かれた事に本当に感謝しており、稀においたちの筆耕に関して届くクレームにも前向きに対応してくれます。一度ならず、二度、三度とお客様からダメ出しが続く場合も稀にありますが、迷惑を掛けるね、と気兼ねしながら「お客さんが気に入って下されば何よりだから。」と、辛抱強く対応してくれる母に心から感謝しています。

 そんなこんなで2000年においたちの小箱が誕生して早丸8年余りが過ぎました。60代前半だった母も70の声を聞きました。ここ数年は肩や腕の痛みがひどく、夜中、うずいて眠れない日もあったようですが、おいたちの筆耕は引き受けた以上はと、頑張ってくれます。ただ、そんな母ですが、やはり、クレームが増えたら迷惑を掛けるからそろそろ二代目を探してよ、と最近は弱気な言葉が出たりもします。母の筆耕あってのおいたちの小箱と思っていますが、未来永劫とは行かないのは明白です。その時が来たら、筆耕は止めなくてはならないかな、と考えます。或いは、機械によるプリントに切り替えるかです。

 筆耕の専門家にお願いすれば、現在の価格では到底お届けすることは出来ないでしょう。母が殆どボランティア同然で力を貸してくれているからこその小箱だと思います。小箱を通じて伝えたいことは、非の打ち所も無く完全無欠である事よりも、みんな違ってみんないい、という詩がありますが、まさにそこなのです。入手するのも難しい素晴らしい材料を使って、目が飛び出すほど高価な小箱を作ることは不可能ではないでしょう。でも、豊田産業のおいたちの小箱は、一人ひとりが皆違うように、一つ一つが皆個性を持って、その個性を自ら愛し、その個性を周りも愛する暖かな絆を繋ぐためのアイテムなのです。






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最終更新日  2009年01月07日 19時48分26秒 コメント(1) | コメントを書く


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