実録・サラリーマン時代

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July 2, 2006
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カテゴリ: カテゴリ未分類
Vol.2「裏切りと出会いと焦り」

「この塾は我が日本の教育を・・・どうたらこうたら」というようなことを、スーパーハイテンションでアジテートしている。
そしてどうなったか、別にどうもなってないんだが、胸はドキドキしていた。
他塾の差しがねによるものなのかなんなのかは知らないが、
まぁこの塾全体を攻撃するなら日本一であるこの牙城を狙うのは納得だった。

 時をほぼ同じにして、このH町教室にいる主任講師をはじめとしたメイン講師達が次々と辞めていった。
そして、ほどなく近くのエリアに彼らは新しい塾を建てた。
生徒の家にDMが周到に送られ、そこの塾の場所とそして講師達のコメント「また一緒に勉強しよう!」っていうのが書かれてあった。


この講師による大量謀反により講師不足となり、俺は授業をすることも増えたが、
基本はまだ雑用事務作業だった。

 そうこうしてるうちに、西東京ブロックのエリアマネージャー兼幡ヶ谷教室長でもある松田さんと出会った。
今後はしばらく松田さんにくっついて、幡ヶ谷及び池尻大橋教室を中心に勤務するようになった。

 世の中には身も心も仕事に捧げているタイプっていうのがいると思うが、
松田さんはまさにそのタイプだった。
 ある人の話で、「人間の能力に大した差なんてない。業績なんて働く時間と集中力だけで決まる。
業績の悪い人は、ただ働いてないだけです。」というのがある。
根本的ではあるが、真理だと思う。
この点松田さんは、確実に働いていた。いつまでも働いていた。

 一般的に仕事っていうものは、いつまでもどこまでも数珠繋ぎの如く続いていて、

終電が12時半くらいだったので、それに合わせてあがらせてもらっていた。
松田さんは俺が帰ったあともまだ教室にいることが多かった。
上司よりも先に帰るのだから、せめて早く入室しようと思って、かなり早めに行っても松田さんは既にいた。
何日かそれが続いて、ついに謎が解けた。
松田さんは教室に泊まっていた(笑)。

 何が松田さんをそうさせているのか、深いところでは未だに謎ではあるが、
とにかく仕事において全く手を抜かない、丁寧で、そしてとても誠実に部下の俺に接してくれた。
 例えていうならば、受験勉強をする時、あらゆる無理無駄を省いた合理的な参考書ではなく、
辞書とか文法書(文型とか名詞、動詞、前置詞とか各分野にやたら事細かに載ってる本)みたいな分厚い参考書が松田さんだと思った。
時間効率とかは置いといて、泥臭いが、確実な方法であることは間違いなかった。


教室数拡大のスピードに求人採用が間に合わず、
エリアマネージャーとして松田さんは西荻窪・新中野なども統括する必要もありながら、
幡ヶ谷と池尻大橋の2教室の室長も兼任するという異常事態になっており、
一刻も早く幡ヶ谷に新教室長をたてようという狙いが会社にはあり、
俺は幡ヶ谷教室長候補である、ということを松田さんには告げられていた。

 幡ヶ谷の講師たちは一人一人の質が高く、みんなキャリアが長かった。
 思い出深い二人の講師がいる。
昔の俺同様に音楽の道を志しながらもほぼフルタイムで来ていて、しかもこの教室の最大の戦力となってる西岡先生。
俺と同じ年齢で、京都大学を卒業していながら、前職を辞め、ここでバイトすることになった、
という遍歴をもつ北野先生。
それについて聴くと、「前職に未練がないどころか、退職した時は目の前がパーっと明るく開けましたよ」ということを話してくれた。
この人もある意味、何かから「生還」したんだなぁ、という妙な共感を覚えた。
そして、この2名の先生とは今でも交流がある。

 幡ヶ谷教室の生徒達とも仲良くなり、自分の中でもこの教室を任されるんだなぁという自覚も芽生えてきた丁度その頃、当時この教室の主任講師をしていた大学4年生の先生がいて、
卒業後はそのままこの塾の社員になりたい、という意志を表明。
この先生は、生徒みんなからの信頼も絶大で、授業も完璧だし、
加えてほとんどの業務の流れも把握してる人だった。
 そういうわけであれば会社側もこの先生の入社に大賛成で、
勤務教室は当然、幡ヶ谷教室がいいに決まっていて、異を唱える人は誰もいなかった。
もちろん俺もそれが自然の流れだと思った。同時にだんだんと俺自身の中に焦りも生まれてきた。
(つづく)





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Last updated  July 3, 2006 03:38:48 AM
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