家曜日~うちようび~

家曜日~うちようび~

2019.12.01
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それに対する今現在の自分の気持ち。

今後の記録として、この日記に残しておく。

先月のあたま、僕は社長に会社を退職したいと伝えた。
今の会社に不満はない。今の会社には感謝しかない。
退職の理由は、一・二年程前から構想があった独立起業をするためである。
サラリーマン生活20年、一遍の悔い無し。十分やり切ったと思う。
僕は今、45歳。人生の折り返し地点のところ。
僕等の世代は、きっと65歳定年って訳にもいかぬだろう。
おそらく70歳まで働かねばならぬ。
70歳までの残りの25年は、企業の為でなく、自分の為に働いてみたい。
これからの時代、年を取ってからも自分が自分らしく働ける環境は、
やはり自分でつくっていくべきかなと。

勿論、業種は水道設備業。
無論、この歳から肉体労働中心の職方がしたい訳ではない。はなっからビジネスをするつもり。
不思議なもので、社長に申し出る時、何の気負いも緊張も感じられなかった。
自分の人生において、行うべき時期に行うべき行動をとっている、ごく自然な感じ。
起業については、必ず成功するという自信しかない。
だって、僕には才能があるからね。
え? どんな才能かって?
ふ、ふ、ふ、僕にはね、 「アホみたいに努力する」 という才能があるのだよ。

その日、社長は即OKをくれた。
よくぞ言った! それでこそお前だ! 応援する!
そんな反応だった。


ある日の恐妻飯。
「ミルフィーユ鍋」というらしい。




んが、



その三日後。

僕が早朝7時から、会社で一人さっさと仕事を始めていると、
同じく早朝6時から社長室でさっさと仕事を始めている社長に呼ばれた。

あれから冷静になって、あれこれ試算してみたが、
どう考えてもお前がいなくなると、この会社自体が立ち行かなくなる。
なんとか会社に残って欲しい。

ありゃりゃ? 

せめて会社に籍だけは置き、業務上独立しているような雇用形態を一緒に摸索したい。
例えば、会社を支店化するとか、グループ会社化するとか。

うーん、前回と真逆の反応。

社長曰く、
そもそも、お前の起業のビジョンがどれだけのものか知りたい。
とのことだったので、
「それでは企画書を作成して来ます。」 と約束する。

翌週のはじめ 「独立起業のための企画書」 を提出。

数日後、呼び出され、
企画の内容は概ね理解出来たが、独立してからの社会保険の試算が甘いぞ。
と指摘を受ける。
その後一時間ほど税金に関する講習を受ける。勉強になった。

話の最後に、

実は自分には、いずれ水道設備業の経営から一線退き、別の事業を始める構想があった。
お前さえよければ、その際は水道設備業の経営をお前に任せたいと思っている。

と言われる。

その後、お互い忙しい合間をみて、何度もミーティングを行う。

会社からは、何だかもう勿体ないほどの好条件が提示されている。

それでも独立起業したい僕。

どうにか会社に残って欲しい社長。

現在は、平行線のまま。

恐らく次回のミーティングが最後になるだろう。

会社から、今後の具体的なポストと給与の提示があると思う。

その提示を受け、年内には決断したい。

「人事を尽くして天命を待つ」 という諺があるけれど、まさに今そんな心境。

この20年、人事は尽くした。

あとは天命を待つのみ。

独立か、残留か、

天命は、とっくに決まっているのだろう。



めっちゃ美味かった。
焼酎めっちゃ飲んじゃった。



僕ぐらいの四十代半ばの世代のことを世間では、
「失われた世代」とか「ロスジェネ世代」とか「就職氷河期世代」とか言うらしい。
大人たちがバブル景気に浮かれ呆けている時、僕たちは、しがない学生だった。
多くの学生たちは「明るい未来行き」の片道切符を握りしめ、
決められたレールの上を、文句も言わんと着実に進んでいた。
んで、さあ、いよいよ大人の仲間入り! 世は好景気、浮かれ、はしゃいで、楽しもー!
なんつって安堵した矢先、目の前でパチンと音をたて、バブルがはじけてしまった。
ニートという言葉が生まれた。僕等の世代は、ニートに溢れた。
今だ氷河期を引きずってマトモに働けない「高齢者ニート」が社会的に深刻な問題になっている。
その反面、その氷河期を逆手に取り、団塊の世代やバブル世代との競争を勝ち抜き、
その道のプロフェッショナルと成り得た、堂々たる者たちも多くいる。
いわゆる「勝ち組」「負け組」の色合いがはっきりしているのも、僕らの世代の特徴だろう。

僕はといえば、自分の仕事に対するポリシーを他人に押しつけがましく、
団塊の世代やバブル世代に拭い去れない嫌悪感があり、つい反射的に反抗してしまうという、
ロスジェネ世代の悪い所ばかりを懲り固めたような、典型的な「ロスジェネ人間」であるにもかかわらず、
当時、氷河期の襲来を実感していたかというと、全然そんなことなくて、
始発の駅で「明るい未来行き」のレールから脱輪し、
スタート地点で、ものの見事に横転したような人生であったので、
就職氷河期とか言われても、いまいちピンとこないのよね。
みんなが悲惨な就職活動している時、家で酒飲みながらギター弾いとったからね。



先日、長女が九歳になった。
僕は仕事をばりばり家庭に持ち込むタイプなので、
今回の一件を長女に相談したら、
パパのやりたいことをしたらいいよ。
でも一応、私、図書館で『食べれる野草の本』借りとくね。
だって。ははは。


そもそも我々「失われた世代」の、「失われた」ものとは何だったのだろう?
望んだ就職先を「失われた」んか?
バブル景気を「失われた」んか?
人のせい、景気のせい、時代のせい、
「失われた」という被害者意識むき出しの語感が、それをよく表している。

僕には、時代に「失われた」ものなど何もない。

ただ、

自ら「失った」ものがあるような気はしている。


無我夢中で働き続けたサラリーマン人生において、

僕は、確かに、大切な何かを失った。

この喪失感の正体は何だろう。

四十五歳という、人生の折り返し地点に突っ立ちながら、

今更ながら、独り、考えている。

寒波吹きすさぶ不景気のなか、

氷河の道で滑って転んで、

力尽き、立てなくなっても、なお、

はいずり、はいずり、前進して、

かろうじて辿り着いた、この折り返し地点のところで、

失ったものが何なのか、

今更ながら、考えているのである。


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・・・髪の毛かな。









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最終更新日  2019.12.07 10:38:21


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