ボクの音盤武者修行
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時折暑くなったりしますがとても過ごしやすい日々が続いていますね。ひところ肌寒かったり雨が続いたりと不安定な天候でしたが、ここしばらくは快適です。こうなると何だか無性に動きたくなりますよね。 私事ですが誕生日前後には必ずコンサートに行くことにしています。まあ自分へのご褒美ですね、今まで無事に過ごせたことへの感謝、これからも穏やかに生きて行こうという決心、そんな感じでしょうか。 今年はオペラに行きました。藝大でオペラを観るようになってからオペラへの抵抗感がだいぶ薄らいだように思います。若いときの毛嫌い、食わず嫌いも時が経てば平気になるようなものです。今回は昔もっとも嫌いだったイタリアオペラのひとつ、プッチーニの「トゥーランドット」です。 今回のお目当ては最近人気の指揮者アンドレア・バッティストーニ。一度生で聞きたかったのです。けれどオケは東京フィル、トゥーランドットとカラフ以外は日本人キャスト、果たしてこのグランドオペラの華がうまく咲くのでしょうか。 プッチーニ オペラ『トゥーランドット』<演奏会形式>(2015年5月18日(月))指揮:アンドレア・バッティストーニトゥーランドット(ソプラノ):ティツィアーナ・カルーソーカラフ(テノール):カルロ・ヴェントレリュー(ソプラノ):浜田 理恵ティムール(バス):斉木 健詞アルトゥム皇帝(テノール):伊達 英二ピン(バリトン):萩原 潤パン(テノール):大川 信之ポン(テノール):児玉 和弘官使(バリトン):久保 和範合唱:新国立劇場合唱団児童合唱:東京少年少女合唱隊 ほか コンサート形式は音楽をじっくり聞くのに向いています。豪華絢爛たる舞台装置も素敵ですが、オケの音と歌声に聞き惚れるのもまた一興かと。 舞台は照明をうまく使って場面の雰囲気をうまく伝えてましたし、少ない動きながら演技もありで長丁場を全く飽きることなく最後まで聴き、観ることができました。 トゥーランドットを全曲通して聞くのは実は初めてでしたが、冒頭の響きからごつごつした筋肉質の塊が噴出してきて、まるでオルフのカルミナブラーナみたい。続くオケの絶叫、不協和音などこれは完全に「20世紀の音楽」(1920年代の作品なので確かにそうなのですが)です。時折叙情的な甘く切ないメロディー、柔らかな響きなども聞かれますが、私にはオルフ、シェーンベルク(グレの歌)、リヒャルト・シュトラウス、ハリウッド映画音楽が聞こえてきました。プッチーニというとラ・ボエームの印象が強くて泣かせるメロディーを延々と聞かせる、ちょっと感情過多な作曲家だったのですが、こんな現代音楽すれすれなところまで来ていたことに今更ながら驚きました。 さてお目当てバッティストーニはというと、確かに凄い指揮者です。とにかく音がでかい(笑)。サントリーホールはよく響くホールなので音が飽和状態でした。その叩き付けるようなフォルテは豊かで明晰な響きであり、時に驚怖を、時に熱狂を客席から自在に引き出していました。それだけでなく弱音でも決して痩せることがないのには正直驚きました。これが日本のオーケストラとはちょっと信じられませんでした。それでいながらベースラインもきちんと聞こえるし、弦楽からビロードのような響きを引き出す、やはりただ者ではありません。 音楽の運びはダイナミックでストレート、カンタービレにもう少し自在さが欲しいところもありましたが、若干27歳ですよ。この衝撃はラトルが初来日したとき以来です。周囲がうまく育てあげれば将来大物になれるでしょう。 歌手について、カラフのヴェントレさんは不調、声が出てませんでした。それでも有名なアリア「誰も寝てはならない」では見事な歌唱、拍手喝采でした。トゥーランドットはいまいち存在感不足、それに比べてリューの浜田さんは可憐でいながら芯の強さも持つこの役を見事に歌い演じきりました。リューが死ぬ場面では思わず涙がこぼれました。 彼女に限らず、日本人キャストの素晴らしさには感動を覚えました。歌声だけでなく声で演じると言いますか、見ていて聞いていてほんとに楽しかった。あと合唱の威圧的な響きも凄かった。 終幕のエンディングはプッチーニの死により弟子のアルフォンソが書いたものですが、ちょっとせっかちな印象があるものの(特にトゥーランドットの改心が早い)、最後に「誰も寝てはならない」のメロディーで皇帝の栄光を讃える大合唱+オケの熱演にはカラダが震え、脳天に何かが突き刺さるような痺れるような感覚で、息ができないほどでした(大げさではなく、あの場にいた人ならわかってもらえると思います)。その圧倒的な演奏の前では筋書きが不自然だの、弟子の書いた部分が不出来だのといったことはどうでもいいことのように感じました。 最後の音が鳴り終わった途端に大ブラボーの連続、いつまでも鳴り止まない大拍手が今回の公演の成功を何よりも物語っていたのではないでしょうか。 バッティストーニ、楽しみな指揮者です。またオペラ行きたいなあ。[CD] アンドレア・バッティストーニ(cond)/レスピーギ:交響詩≪ローマの祭≫≪ローマの噴水≫≪ローマの松≫(ハイブリッドCD)バッティストーニの名を日本に根付かせた、レスピーギ。日本のオケとは思えませんよ。[CD] アンドレア・バッティストーニ(cond)/マーラー:交響曲第1番≪巨人≫(ハイブリッドCD)東フィルとの第二弾はマーラー。未聴ですがこれも凄そうだなあ。【送料無料】 Verdi ベルディ / 『ファルスタッフ』全曲 メドカルフ演出、バッティストーニ&パルマ・レッジョ劇場、マエストリ、ヴァシレヴァ、他(2011 ステレオ)(日本語字幕付) 【DVD】プッチーニはないですが、ヴェルディのDVDは何点か出ています。(参考)小澤さんがパリで振ったトゥーランドット。画質は悪いですが、これも大変な名演です。DVD出ないかなあ。
2015年05月23日
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