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カテゴリ: カテゴリ未分類
棋士、村上聖(さとし)の生涯を描くノンフィクション。

重い腎臓病を患う身にとって、それはまさしく命懸けであった。

普段なら触手を伸ばさないような題名。筆者の作品を読んだこともない。
帯や裏表紙に『感動』『泣ける』とかあると、かえって斜に構えてしまったり。
そんなもん押し付けるな、決め付けるな!と言いたくもなる。
でも、やっぱり感動したいなぁという欲求が(笑)

【将棋】 駒の動かし方くらいならわかる。
が、さしたことはあまりなく、勝った記憶もほとんどない。

それでも、昨今の羽生善治を中心とした棋界の盛り上がりは知っている。
さらに以前、竹本健治の『将棋殺人事件』を読み「この世界もなかなか奥深いなぁ」と感じたりもした(これは『詰将棋』だったけど)。そして、どこかで聞き知った【村上聖】という存在。表紙のずんぐりとした写真を見て、本書を手に取った。


5歳でネフローゼと診断される。
廻りの家族は自分のせいで病気になってしまったと自身を責める。自暴自棄になる聖。
そんな時に【将棋】の魅力に取り付かれる。
困難に立ち向かいながら、天才的な能力を発揮していく・・・

そして師匠・森との出会い。
『冴えんなぁ』といいながらも、献身的な愛を弟子に捧げる。
髪も洗ってやるし、パンツも洗う。

ここまで来ても「ベストセラーにそうやすやす迎合せんぞ」とわけ分からん決意。


全国から天才たちが集まってくる奨励会。

それはまさしく棋士としての寿命だ。
そして聖にのみ課せられた、文字通りの寿命。

ただただ名人になることのみを目指す。
そこにいるのは天才、谷川浩司。
そして、革命を起こす、羽生善治。


ヴォネガット、萩尾望都、ボストンを愛好し
四畳半の部屋で5000冊の漫画、推理小説に埋もれて暮らす。
髪は切らず、爪も切らず、風呂に入るのも嫌。
救急車で運ばれるほど、飲みつづける。
麻雀では徹底的に勝ちにこだわる。
年齢制限で棋士の道を閉ざされた友人に『負け犬』といい殴りあう。
師匠に買物は頼むし、世話をしてくれる母親には当り散らす。
わがままで、頑固で、人には決しておもねらない。

しかし、将棋に対する思い入れは人一倍である。
だが身体が言う事を聞いてくれない。
回復させる為に、ジーッと身体を動かさずひたすら休める。
尿瓶を横において、トイレに行く体力すら温存させる。

十何時間にも及ぶ対局。
不戦敗をさざるをえないほどの体調の悪化。
それでも、鎮痛剤は頑なに拒否する。
全ては将棋の為。ただただ名人になることのみを目指す。
恐ろしいまでの気迫。

いつのまにか、村山聖という人間をたまらなく好きになっていた。


最後のほうは、通勤途中に電車で読んでいた。
涙が出てきてどうしようもないので読むのを止めた。
そして会社に着いてから、泣きながら読んだ。
(いつも一番初めに会社に言って鍵を開けるから、一人なのだ)
感動したというよりも、ただただ悲しかった。
こんな生き方もあるんだね。

なんかしり切れトンボになってしまった。
この本は実際の対戦の棋譜も幾つか載っているので
(対 羽生, 対 谷川 戦など)
将棋を知っている人なら、棋士としての聖の凄さも実感できるのではないだろうか。
(私は見ても全くわかりませんが。)
それでも、人としての聖の強さ、真直ぐさ、は充分過ぎるほど伝わる。





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最終更新日  2003年05月04日 23時30分46秒
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