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「どんな事件だい?」と団地の一室で交わされる親子の会話。

よくこの家を訪れる父親は、退職した元刑事。
捜査に出向くことのない退職刑事は、未解決事件の話をきき、
縺れた糸をひとつひとつ鮮やかに解いていく! 7作収録の短編集。

安楽椅子探偵もの / アームチェア・ディクティブ・ストーリイ。
実際に現場に足を運んだりせずに、話をきいただけで謎を解決!というアレである。
この『退職刑事』はいわばその代表作と呼ばれるもののようです。(収録作は全て70年半ばのもの)西澤保彦さんは『麦酒の家の冒険』の解説で、このシリーズを【本格推理のバイブル】とまで言っています。

内容としては、

なので、場所は常に団地の中、登場人物も親子の他には息子の奥さんくらいです。
(もちろん、話のなかには様々な人物が登場しますが)
これをシリーズ化するとなると、当然マンネリ化するわけですが、
都筑さんにはむしろマンネリズムに徹し、論理を表面に押し出すことのみにつとめる、という狙いがあったようです。(解説で法月さんが触れている、都筑氏VS佐野洋氏の『名探偵論争』も興味深いです)

と、ここまで書いておいてなんですが、この短編集の中には
私にとって、これが最高!というような会心の作品はありませんでしたぁ~。
確かに 『狂い小町』 の逆転の発想には吃驚しましたし、『妻妾同居』 も面白い展開だと思うし、『ジャケット背広スーツ』 での【二着の上着を抱えた男(本人も別の上着を着用)】の謎・何故3着も?に対する解答もなるほど~と唸りました。でももう一つのダイイングメッセージのほうは無理がある気がします。(この話は、ある有名な作品と落しどころが同じとのこと。私もそれは既読なのですが、忘れてしまっている為、何の問題もなく楽しめました。記憶力がないというのもたまにはいいもんだ、笑)

と、充分に堪能しているようにも思いますが、もっともっと期待していたのでした。ですが、それは作品のせいというよりも、読み手の問題でしょうか。こういう形式の場合、話に入り込んで自分の頭の中で整理出来ていれば、論理の展開が楽しめて非常に面白いと思うのですが、イマイチ集中できずに話に入れない場合は、なんとなく読み進んでしまって、「はて?終わっちまったよ」てなことになりがちな気がします。電車の中で「降りるまでに読めるかな」と思いながら読むよりも、落ち着いてゆっくり読んでみたほうがより味わうことが出来るのかもしれません。

私は論理的な考えが苦手なので、都築さんなら、やはり砂絵のセンセー率いる【なめくじ長屋】シリーズのほうが好きですね。大勢でワイワイガヤガヤ賑やかに、というほうが。





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最終更新日  2003年07月09日 00時22分02秒
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