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西暦3000年。百五十代目として即位した王様には気にくわないことがあった。王の姓は【佐藤】。この国のなかで最も多いとされている名字である。同じ姓を持つ人間が数多くいることが堪えられない王が思いついた計画とは・・・

【リアル鬼ごっこ】。
全国500万人の佐藤さんを、王国の兵士?100万人が【鬼】として追いかける。
捕まったものは、宮殿内の収容所にいれられ、やがて殺される。
七日間、毎日一時間ずつ午後11時より行われる。
最後まで逃げ延びたものは、何でも願いがかなえらえる。
どこに逃げてもいいが、自分の足で逃げなければならない。
ルールを侵したものはその場で失格。鬼によって抹殺される。


前日の日記の続きです。


さて。正直、言いたいことはたくさんある。ありすぎて止まらなくなりそうなので前日ワンクッション置きました。どうせ上手くはまとまらないでしょうから、適当に挙げていきます。

まず、感じたのは、この作品には《深みがない》ということ。
未来だ、という設定からしておざなりである。『鬼ごっこ』というゲームソフトに、一応設定が必要だから、取りあえず適当に書いて説明書にちょこんと載せた、というぐらい表面的で奥行きがない。
この《設定の意味のなさ》が与えるマイナスイメージは大きい。細かくは後述します。

仮に設定があいまいで意味をなさなくても、面白い小説というのは幾らでもあると思う。そこには別の魅力、読ませどころがあるはずだ。しかし、この話にそういったものを見つけるのは難しかった。なによりも登場人物たちに、これまた《深みがない》。ステレオタイプな人物たち。これだと感情移入の前にしらけてしまう。この王様のキャラクターは、わざと狙っているのか?と思えるほど露骨だけれども、特別な意図はないと思う。みんなあまり変わらない。性格がどうこうではなく、個性をあまり感じず面白みがない。「もしかして、こんなあまりにもお約束な展開にはならないよね?」と思っていると、そのまま、ひと昔前の決まりきった展開になってしまう。素朴といえないこともないけど、こうもあからさまだとちょっとつらい。
話の展開も、妙に素直すぎるか、かなり無理があるか、どちらかといった具合。小説を読むときの高揚感があまりなくて、続きを読みたい!という状態にはなかなかならかった。

そして何よりも問題なのは・・・。文章。
私が人に文句が言えないのは承知しているが、プロとして、これはちょっといただけない。

「二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた」

こんな調子。もちろん全部が全部ではないけど。
あと描写力、語彙力も気になってしまう。



この前の文にも“豪華”はやたらに使われている。たま~に、こんな一文があるのは、ある意味新鮮かもしれないけれど。あまり気を使わずに書いた、それこそ日記のような文がほとんど。場面場面の描写一つとっても、経験が浅い(使う言葉がわからない)というか、幼さを感じてしまう。もしかして、『作中作』かなんかの仕掛けがあって劇的に文章が変化するのでは?という穿った見方(淡い期待)をしたのだが、そんなことはなかった。この文章、ペース、雰囲気は、終始変わらない。
私が小説に求めていたものは、ここにはなかった。


話を戻して、設定に関して少し細かく見ていく。
西暦3000年。本当に意味が無い。

「医学技術や科学技術、そして、機械技術の全てが今とは全く想像のつかないほど発達し~」


【佐藤探知機ゴーグル】これである。
鬼が持つもので、近くに佐藤さんがいればセンサーが反応するという。
うーん、ちょっとこれはないんじゃないでしょうか。他にも、【王国管理センター】という国のデータベースが出てきますが、これなんか既存のものよりよっぽどお粗末な気がします。


ここまできて、大人げないかなー、もっと素直に普通に読んで、あまり好きでなければ文句を言わずにほっとけばいいのかなーとも思う。細かいし、意地も悪い。

ただ、ただ、一つ本当に気になることがある。
それは、この本がベストセラーになったことだ。

どうしてそれほど売れたのか?
タレント本でもないし・・・。理由がよくわからない。はっきりいって、この本よりも面白い本は、それこそ幾らでもあると思う。もちろん、そんなことを言ったらキリがないのだけれど。(古本とはいえ)買っている私がいうのもおかしいのですが。

『リアル鬼ごっこ』。この題名にひかれたのですが・・・
全然リアルじゃない!こんな王国、成り立たないよ~。小説の中の架空世界が全く描かれてないし。自分の書いた文を軽視しすぎ。読み返してみたのだろうか?これじゃぁ書きっ放しだよ~。
なんで出版社はこのままの形で売り出せたの?

と、すこし壊れかけています。
もちろん、この作品を読んで面白いと感じる人もいるでしょうし、人それぞれ求めているものも違うでしょう。ただ私には、キラリと光る何かを見つけることが出来ませんでした。


読了後、ネットで幾つかの掲示板を見ましたが、やはり概ね評価は低いようです。かなりキツイ意見(意見とはよべない罵詈雑言までも)もありました。(『バトル・ロワイヤル』に似ているとの指摘もあるようですが、遠く及ばないと思います。)私が信頼している幾つかのミステリー中心の書評サイトなどでは、この本はとりあげられていませんでした。

もし、『リアル鬼ごっこ』を読んでみようかな?と思った方がいらっしゃいましたら、何ページから立ち読みしてからのご購入をお薦めします。

最後に。作者の山田さんは、お若い方のようです。
使われている言葉、イメージなどはそのまま、現在の山田さんがもっているものを現しているかもしれません。背伸びをしない、ありのままの姿を。そういう意味では(山田さんにとっては)非常に、【リアル】なものなのかもしれません。とても純粋で素直な方なのでしょう(皮肉ではないです)。

昼に書いたものを読み返してみて、あまりにひどかったのでちょっと訂正。
すこしはマシになったでしょうか。変わらんかったりして。






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最終更新日  2004年02月24日 00時06分20秒
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