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「主人を捜して欲しいの」
そういった依頼人は、六年ぶりに再会したかつての恋人だった。

調査事務所を営む(といっても社員は自分ひとり)桜庭のもとにやってきた成美。
彼女とは、かつて同棲し結婚するものだとばかり思い込んでいた。
しかし今、目の前にいるのは知らない女だった。

成美の夫は5ヶ月前に、会社の金を持ち出し行方不明となっている。
だが、横領としては中途半端な額で、金そのものは実家が立て替えていた。
ともに消えた一人の女の存在。事態は明白だが・・・
成美はあくまで“夫に会いたい”の一点張りだった。



『プラチナ・ビーズ』などの大長編スパイものを読みたい!
だけど今まで読んだことがない作家なので短いもので様子見、ということです。
結果は、可も無く不可も無し。(オーイ、適当すぎ)
祥伝社の400円文庫ということで、すぐに読めてしまう薄さ。凄い驚きがあったとか、感動したとかいうのは無かったが、巧くまとめたなぁという印象。登場人物はなかなか魅力がありました。

天が四物(家柄、容姿、頭脳、健康)を与えたと桜庭が言う、檜林真吾。
完璧に造り上げられたマネキンのような、キャバクラに勤める、キリエ。

などなど。桜庭の調査事務所が人を捜すのを専門とし、部屋をシェアするオフィス・檜林が連れ出しを専門としているという設定も面白い。そんなに深い絡みはなかったが、お互いの利害が対立するような案件だとか、幾らでも物語の可能性がありそう。この設定で、連作だとか長編シリーズものを読みたいが、続きはないのだろうか?奥行きのある長編でもいけるような設定であえて短編(中編?)を書く、というのもなかなか良いけど。わざと広がりだけを持たせる、というのも技かなぁ。言い回しなども、痺れた~というフレーズが沢山あるというわけではないですが、文章はとても読みやすくて好きです。

 自分以外の人間を自分の物差しで理解しようとすることほど虚しいことはあるまい (P146)


そんなこんなで、『プラチナ・ビーズ』も読みたい!という結論となりました。

『冬に来た依頼人』 五條瑛 祥伝社文庫(平成12年11月初版第一刷発行)





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最終更新日  2003年12月29日 18時02分55秒
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