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カテゴリ: カテゴリ未分類
辿りついてしまった事件の真相。目の前にいる犯人たち。

「それでも・・・おれは君に手錠をかけなければならん」  10作品収録の連作短編集。

気になったものを簡単に。

『証言』
八坂刑事は帰省先で二人の男を逮捕した。
母と娘を轢いた運転手と、それを目撃していた指名手配中の男。
裁判後の二人の意外な関係は何を意味する?

『精神安定剤』

ある死刑囚への復讐の為に精神安定剤を使用した彼が、自殺しようとした理由とは。

『黒幕』
襲われた自分の娘を助けた為に、過剰防衛の罪に問われた洋服屋の主人。
刑をすんなりと受け入れて出所した後、当の暴漢たちへ援助するという不思議な行動を取る。
彼が真に恨んでいたのは・・・

『一枚の木の葉』
ジャンパー、地下足袋姿の男は、トイレから出ると別人のように変っていた。
後を追った八坂刑事は、男が大学の助教授だと知る。
やがて、世間を騒がした殺人事件の犯人として男が浮上し、本人も自供するが・・・

『敵討ち』
交際相手は産業スパイだった!

父が決意した奇想天外な復讐の方法と皮肉な結末。

『安楽死』
吹雪の中、車がエンスト。夫は、妻を置いて助けを求めに行く。
現場に戻ったとき、妻は凍死していた。
疑われた夫は、妻が望んだ“安楽死”だと主張するが・・・



ですがこれは、荒唐無稽な話では無く、堅実な社会派?ミステリーといったところ。
全編に登場する八坂刑事の同じセリフで話が終わる。
セリフの内容からもわかるが、憎むべき極悪人として逮捕するというよりも、やむにやまれぬ事情を承知しつつ、それでも逮捕せねばならない、という犯罪が描かれている。
短編ということもあってか、八坂刑事の心の葛藤を丁寧に掘り下げたというよりは、最後の一行に、重さ、虚しさ、やるせなさをこめ余韻を感じさせてている。


トリックよりも、動機重視。
展開が巧みで、一筋縄ではいかない。派手さはないが、思わず読み込んでしまう。
全体的に、無責任な追随、追従、見て見ぬ振りの衆人たちに対する怒りを感じる。
犯人の歪みで感情移入が全く出来なかったり、それほど重さを感じないものもある。
過程は面白いのに、最後が「あれ?そっち行くの?」というイマイチなものも。
ただやはり読みやすいし、アイディアも豊富。ページが進む。

内容とはあまりリンクしていないようにも感じますが、
思わず手にとってみたくなる、渋くていい題名ではないかと思います。

底本・・・昭和52年刊 現代教養文庫
書かれたのは更に前だろうが、古さはさほど感じない。

『夜よりほかに聴くものもなし』 山田風太郎傑作大全8 廣済堂文庫(平成8年12月初版)





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最終更新日  2004年01月22日 00時18分38秒
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