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看護士として林の中の町立病院に勤務している和夫。

脳卒中が再発した和夫の父・松吉が部屋を移すことになった・・・ 表題作他3編収録

70になる父は、かつて電気鉄道の運転手だった。
トロッコを改良して作った非力な小さい電車は、この町では花形だった。
宣教師のマイクは、かつてベトナムでファントム戦闘機に乗っていた。
マイクと打ち解けた松吉は、退院した後、「水車を、つくる」と言い出した。

さて。
初めて読む作家ですが、穏やかさと厳しさが同居した味のある作品でした。

【死】に対してのスタンス。そして【生】に対する思い。

『冬への順応』
タイ・カンボジア国境で三ヶ月間、難民医療活動に参加した医師のぼく。
帰国後、つとめる病院に入院してきた患者は、かつての恋人だった。
しかしぼくは、倒れた老医の代わりに過疎の村の診療所にいくことになった。

こちらもタイ・カンボジア国境に赴いた自身の想いが強く出ていることでしょう。
タイでの医療活動と、帰国後の村の診療所、そしてかつての恋人との思い出が入り混じる。

『長い影』
帰国した一年後の、カンボジア難民医療団の忘年会。
酔って、大浴場の男湯にやってきた一人の女。
彼女は現地で難民と結婚・妊娠したという噂があった・・・


難民医療団の一員として働いていた種村と、現地で助手を務めていたミン。
“氷が張った湖に穴を開けて釣りをする”という話をしていた。
5年後、ミンは種村のもとにやってきて、二人は湖へと向かった・・・


ワカサギに限らず、“釣り”は他の話でもよくでてくる。間違いなく、南木さんの趣味でもあるだろう。医療と深く関連するのかはわからないけれど、主人公が息をつく重要な役割を担っている。
また、巻末の加賀乙彦氏との対談には「小説の中の季節がほとんど秋から冬にかけて」とある。滅びゆくものへの想い、というのは肺癌患者を数多く見、その死にも触れてきたということと無関係ではないだろう。繰り返しになるが、厳しさのなかに穏やかさを求めることは必要なのではないか。決して何もかもがうまくいくわけではないけれども、それでも進まなければならないのだし。


ちなみに作者は、【なぎけいし】とよみます。

本文とはあまり関係ないが、気になった巻末の加賀氏の発言。
「精神病の人というのは、妄想の世界の中で自己充足して幸福なんですね。それを治すと、安定した世界を壊しちゃうわけですね。すると突然、自分の悲惨な現実が見えてくる。いままで自分が大天才だと思ってやってきたことは、全部病気がなせる業だということに気がつく。精神分裂病なんかは治り際に自殺しちゃう人が多くて、これは私たち精神科医にとっては大問題なんです。」P234

『ダイヤモンドダスト』 南木佳士 文春文庫 (1992年2月第1刷)





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最終更新日  2004年02月03日 00時14分46秒
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