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2004年11月27日
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10日後、テレザは200キロ離れた自分の町を出て彼のもとへ向かった。


こんな内容説明では伝わらないなぁ。

読むきっかけとなったのは、 isemari さん のページを見て。
この方の存在すら知りませんでした。isemari さんに感謝。


まず、題名に強くひきつけられた。
私は、自身の【軽さ】について思うところがある。
この場合の【軽さ】は、希薄な、虚ろな、核がない、中身のない、
というような否定的なイメージである。
(古代ギリシア哲学者パルメニデースとは捉え方が異なるのだ)



トマーシュとテレザ、サビナとフランツが基本線。(これだけではないが)

◇トマーシュ
“性愛的友情”と呼ぶ、双方にとって都合の良い愛人関係こそが必要。
このシステムは長年の愛人と別れず、数多くの短期の愛人を持つことを可能にした。
しかし、テレザのことを“誰かが籠にいれて川に流した子供だ”と思い、失うことを恐れた。

◇テレザ
何もかも失った母親からスケープゴートとされ、罪の意識に呪縛される。
八歳の時から、一方の手をもう一方の手でおさえて眠り、自分の愛している男を手にしていると想像する。

「あなに年とってほしいの。十歳年をとってほしいの。二十歳年をとってほしいの!」 (P95)

◇サビナ
裏切りにより人生を切り開いてきた。

裏切りたいという憧れのあとに、隠されたゴールは何なのか?

◇フランツ
誠実さが全ての美徳の中で一番。
「愛とは力をふるわないもこと」
そこにいない人々の想像上の視線の下に生きる。


トマーシュとテレザのもとにいる雌犬。
確かな存在感がある。特に最終章。

トマーシュよりテレザ、サビナよりフランツに意識がいく。
フランツって他人からみると幸せなんだか面白くないんだかよくわからない。
相手を思いやるようでいて実は自分本位。だと思うが、私はこのタイプだと思う。
わかっているつもりで、違う道を進んでしまう。

この話に、奥行きがあるのは、この状況設定の為でもあるだろう。

(その当時神経過敏になっていたプラハでは、誰が期待を裏切ったとか、誰が密告をしたとか、誰が敵の協力者であるかという情報がアフリカのタムタムの信じがたい速さで伝わっていた。) (P229)

どう生きるのか?どう愛するのか? 切実だ。


存在そのものが、拠り所、希望、救い、最後の最後の切り札、となるような相手。
常日頃そう思いながら、感謝し、幸福を祝う。そんなふうには、なかなかなれない。
「愛してる」と表面を取り繕ってみても、虚しいだけだ。
実感するのは、別れの直前、死の寸前かもしれないが、気づいただけでも幸せだろう。
出来るなら失う前に、今その時に・・・


どのくらい理解出来たのか、感じることが出来たのか、考えることが出来たのか。
答えなんてわからないが、とにかく読んで良かったと思う。

『存在の耐えられない軽さ』 ミラン・クンデラ(Milan kundera) 千野栄一 訳
集英社文庫 (1998年11月第1刷)





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最終更新日  2004年12月21日 01時33分22秒
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