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ふみは、周のキックボクシングの試合を観に行くことになった・・・


初めて読む作家さんです。
島本さんは、1983年生まれで、この作品は2003年の芥川賞候補。

等身大というか、気負っていない感じがする。
劇的ではなく、素朴なんだけれど、退屈はしない。(する人もいるだろうけど)


主人公のふみは、高校を卒業したばかり。
母と年の離れた妹・ユウちゃんと3人で暮らす。
父と母が別れた後も、毎年誕生日が近づくと会っていたが、
6年前、父は約束の時間に来なかった。それっきり会っていない。

ふみは習字教室に通う。高校2年からというのがちょっと不自然にも思うが、


電車で席をゆずるのが嫌なら、眠ったふりをせず堂々とすればいいのに。
とか、少々ギクっとしたりしながらも、使われいてる言葉は落ち着いていて、
肩がこらず、なんだか気持ちがいい。


(P92)

別に重要でもなんでもない普通のシーンなのだが、印象的な文。
目線、温度(卒業した学校に対する)がわかるというか、思い浮かべることが出来る。
キックボクサーの周と、その姉、友人らの関係なども、微妙な距離感が穏やかでいいです。

家族の事など、もう少し深く掘り下げてもいいかなとも思うが、あえて踏み込まないという選択肢も充分有りだし、別の狙いもあるのだろう。

淡々と流れていく日々を照らす光を書きたかった。
とあとがきにある。
タイトルからも、焦らずに一歩ずつ進もうとするそのスタンスが伝わる。
島本さんが強調している【明るさ】も、

周の真っ直ぐ前を見る純朴な姿、ふみの素直さから伝わってくる。

ふみが周に語る、“日本が核戦争に巻き込まれる”話。
あとがきで、那須正幹さんの作品(『The End of the World』)と知って驚いた。
興味有り。


刺激が強い本が多いなかで、こういう力を抜いてホッと出来る日常の話を

たまに読んでみるのもいいなぁと思う。他の作品もそのうちに。


『リトル・バイ・リトル』 島本理生 講談社 (2003年1月第1刷発行)





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最終更新日  2005年02月12日 20時42分16秒
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