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鑑賞日:2008年1月20日(日)劇場:ワーナー・マイカル・みなとみらい映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』監督:ティム・バートン脚本・制作:ジョン・ローガン作詞/作曲:スティーヴン・ソンドハイム出演:スウィーニー・トッド:ジョニー・デップ、ミセス・ラベット:ベレナ・ボナム=カーター (ティム・バートンの現恋人)タービン判事:アラン・リックマン役人:ティモシー・スポールピレリ:サシャ・バロン・コーエン 感想:ティム・バートンは映画「シザーハンズ」以来好きな監督であり、今回ミュージカル作品の映画化とのことで、ロードショーを子供と観に出かけた。主役は「パイレーツ・オブ・カリビア」で一躍有名になったジョニー・デップ。果たして歌の方は大丈夫かと心配したが、難しい曲を上手く歌っている。彼以外の出演者もミュージカル歌手ではなく全て俳優(新人は音楽アカデミー出身のようだが)から選んでいる。無論ミュージカル舞台ではなく映画録音なので、声量がなくても後加工で幾らでも手直しが出来るだろうが、俳優が歌っていることにより、台詞に近い音量となり、そこに音楽が加わることにより感情がより伝わってくる。更に映画ならではのアップやカメラアングル、スタジオ撮影、編集により物語が上手く流れ、映画とミュージカルの良い所取りとなっている印象。音楽はロンドンのエアースタジオで64名のオーケストラでの録音。山下達郎のオーケストラアレンジを行う服部克久が「ロンドンのストリングス録音は世界一」と言っているように素晴らしい出来となっている。録音は原作者スティーヴン・ソンドハイム監修の元、彼のスーパーバイザー役ポール・ジェミナニが指揮。何と言っても当時グラミー賞も獲得したスティーヴン・ソンドハイムの原曲が良いのだが。今回R-15指定となっているのは、主人公理髪師のカミソリによる殺人場面での大量の出血のためだろうが、ストーリー展開上やはりそこは必須。通常会話の中の台詞や何気ない場面がその後の物語に全てつながっており、台本も上手い。映像も白黒に近い色調で、ロンドンの風景、登場人物の心情に合わせてある。ただ最後の方はストーリー展開のスピード感重視と上映時間の関係で少し急ぎすぎた印象。30分から1時間は削ったのでは? ディレクターカット版DVDが出ることを期待。久々に映画らしい映画を観た気分になった。End
2008.01.20
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鑑賞日:2008年1月13日(日)15:00開演入場料:¥2,000 D席2階(3列21番)主催:(財)日本オペラ振興会/(社)日本演奏連盟平成19年度文化庁芸術創造活動重点支援事業2008都民芸術フェスティバル助成公演日本オペラ協会公演日本オペラシリーズNo.68オペラ「美女と野獣」水野修孝作曲全2幕会場:新国立劇場中劇場総監督:大賀 寛指 揮:三石 精一演 出:岩田 達宗管弦楽:東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団合 唱:日本オペラ協会合唱団出演絹 :斉田正子野 獣 :三浦克次メフィスト:大久保 眞くれない:橋爪明子むらさき:庄 智子紅 屋 :中村 靖耕 作 :鴨川太郎仙 蔵 :長谷川 敏小悪魔(火龍姫):府川直子小悪魔(夜叉姫):山田真里小悪魔(蛇巣姫):細見涼子小悪魔(夜 叉):松下祐貴子小悪魔(銭 鬼):鳴海優一小悪魔(反吐泥):清水一皓小悪魔(天邪鬼):和田ひでき小悪魔(死 神):相沢 創感想11,12日と昨年と同様に学生さんのオペラ発表会に合唱賛助出演し、若いパワーを感じることが出来た。本日は日本オペラ「美女と野獣」。これまで藤原歌劇団=日本オペラ振興会と思っていたのだが、正確には1981年に藤原歌劇団と日本オペラ協会が合併して日本オペラ振興会となり、藤原歌劇団が西洋オペラを日本オペラ協会が日本オペラ担当とのことで今回は日本オペラ協会主催の公演。「美女と野獣」はもちろんジャン・コクトウやディズニーの映画と同じ原作を元に、テレビやミュージカル作家の大久保昌一良が舞台を日本の戦国時代に移し、美女は武器商人の3女、野獣は戦いに勝つためメフィストに魂を売った城主との設定。まず驚いたのは、オケピットにエレキギター、エレキベース、シンセサイザー、ドラムセット、大太鼓が入っており、主に小悪魔達やメフィストの悪役が登場する場面でロック、ジャズ、はたまたボサノバの音楽が流れる。これまで聴いてきた團伊玖磨「夕鶴」や三木稔作品等の日本オペラとは大きく異なりそれなりに面白い。クラシックオペラとミュージカル的音楽の融合を図っているとは思うが、音楽的バランスとしては電気楽器やドラムが大きくなると歌が聞こえにくくなり、それを補うために日本語の字幕が出る。それなら歌い手にマイクを付けてミュージカルにしてしまってはとも思うが。今回で3回目の公演(初演1989年)となり、ヴォーカリーズ等の追加や部分カットされたようだが、野獣の領地が攻められ出陣する場面で美女(絹)が「生きて帰って。必ず待っている」と言う場面がそれまでの流れから唐突。クライマックス、絹が父の看病のため約束を破り城から居なくなり、戻った野獣が絶望の中、城に火がつき、そこへ戻った絹が火の中に飛び込み、最後は野獣が人間の姿に戻り二人の愛は昇華するところも、不自然に感じ、感情移入が出来なかった。と言ったて昨日合唱出演の「ドン・ジョヴァンニ」だっておかしな所も多いのだが。歌手では絹役の斉田正子が素晴らしい。ヴォーカリーズでかなり高い音や難しいフレーズが随所に出てくるが、ビブラートのない美しい声で最後まで歌いきっておられ、絹の純粋な性格を美しい着物姿で演じられていた。小悪魔役は衣装が奇抜で、歌もコミカルで面白い。今回も日本語の歌の難しさを感じたが、演奏としてはそれなりには楽しめた作品で、日本のオペラは今後も色々なアプローチが続いていくのでしょう。End
2008.01.13
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鑑賞日:2008年1月6日(日)16:00開演入場料:¥5,000 C席3階(12列24番)主催:神奈川県民ホール、光藍社、神奈川芸術協会ソフィア国立オペレッタ劇場来日公演喜歌劇「こうもり」ヨハン・シュトラウスII作曲全3幕ドイツ語上演・字幕付き会場:神奈川県民ホール指 揮:イーゴル・ボグダノフ 管弦楽:ソフィア国立オペレッタ劇場管弦楽団合 唱:ソフィア国立オペレッタ劇場合唱団バレエ:ソフィア国立オペレッタ劇場バレエ団演 出:スヴェトザル・ドネフ 出演ロザリンデ:ドブリナ・イコノモヴァアイゼンシュタイン:マルチェ・アポストロフアデーレ(女中):カテリーナ・タパロヴァアルフレード(ロザリンデ元恋人):ペニョ・ピロゾフファルケ博士(こうもり博士):ニコライ・ペトロフオルロフスキー公爵:リュドミラ・コザレヴァブリント博士(弁護士):アレクサンドル・ペンチェフフランク(刑務所長):アレクサンドル・ムタフチィスキフロッシュ(刑務所看守):ストヤン・ディミトロフ感想昨年に続き初コンサートはオペレッタ「こうもり」を鑑賞。ソフィアはブルガリアの首都で本公演の国立オペレッタ劇場の他、オペラ公演を行う国立歌劇場もある。両劇場とも歌手の多くがソフィア国立音楽アカデミー卒業者であり、国主体の芸術活動であることがわかる。管弦楽は40名弱で昨年のベルリンやドレスデンに比較するとオケピットはガラスキの印象。弦楽はコントラバスも含めほとんど女性。序曲、出てくる音も厚みはないが、それなりにヨハン・シュトラウスの音楽を表現している。ワルツの表現が日本オケとは異なる。第1幕アイゼンシュタインの屋敷では歌手の声も総じて小さめ。2500人の県民ホールは大きすぎるのでしょう。ただ重要なアリア(クープレー)は聞こえてくる。容姿や体型がそれぞれの役に合っており(アルフレードは中年小太りで違うような)、演技や表情が素晴らしく字幕を見なくてもストーリーが判る。第2幕はオルロフスキー公爵の館で舞台装置も豪華になり、約30人の合唱も加わり歌手の声も大きく聞こえてきた。踊り(アドリブ)の部分はヨハン・シュトラウスの『春の声』でソプラノソロとバレエが登場し華やかに。バレエは『エジプト行進曲』『ラデツキー行進曲』でも曲想に合わせて衣装と踊りが変わり盛り上がる。ダンサーのスタイルも良い。第3幕監獄では、看守の世俗話は酒の名前や最後に「大変だ~」の日本語を入れる程度で短め。日本人観客向けにしてあるのでしょう。こうもりの復讐の種明かしがあって、オルロフスキー公爵の館へ戻って『すべてはシャンパンの泡の悪戯』を全員で歌って幕。カーテンコールでは再度『ラデツキー行進曲』で会場の手拍子も入り、指揮者も舞台に上がって盛り上がって終了。おそらく同劇場で何十年と上演した演目であり、洗練・熟練された演目になっているのだろう。昨年の二期会主体公演と比較し、歌手自身は二期会の方が上手い位だが、音楽だけでも溜めや揺れが全体で合っており、演技やバレエなど演目全体として、エンターテイメント的完成度としては大きな差がある。新国立劇場が本当のオペラ劇場になるには、現状の音楽監督、合唱団、バレエ団に加えて専属の指揮者、管弦楽団がいて、更に何十年もの時が必要なのでしょう。End
2008.01.06
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謹賀新年!年末年始は特集番組、ジルベスター、ニューイヤーのクラシック演奏のTV番組が多くあるが、私事の所用もあり、本日やっとPCに取り貯めしたファイルを編集し鑑賞。ベルリンフィルのジルベスター2007はオペラ等の声楽がなく少し寂しいが、イーゴリ公の「ダッタン人の踊り」は良かった。サイモンラトルは相変わらず元気一杯で。ウィーンフィルのニューイヤーはジョルジュ・プレートルの老かいな指揮で、何時も通りのヨハン・シュトラウスでした。NHKのニューイヤーオペラは余り印象に残る歌手はおらず。こちらも「ダッタン人の踊り」が一番良かった。昨年11月NHK音楽祭でもネルロ・サンティ指揮のN響が「ダッタン人の踊り」を演奏しており重なる時は重なるようで。ジルベスタ、ニューイヤーの中ではTV東京の「東急ジルベスター」が千住真理子、仲道郁代、草刈民代、ジョン・健・ヌッツォのビジュアル系を集めて楽しめた。どうせなら指揮者は飯森範親か西本智実あたりの方が良かったのでは?何と言っても一番驚かされたのは12/30,31のNHKの特集で観た神尾真由子のチャイコフスキー・ヴァイオリン協奏曲ニ長調第1楽章の演奏。力強い音だが全ての音符が抜けなく聞こえてくる。オーケストラに合わせるのではなく、完全にバイオリン独奏がオーケストラの演奏を引っ張り、支配している印象。これは凄い。無論昨年チャイコフスキー国際コンクールで優勝した訳だが、大阪では子供の頃から注目されていたようで。まだ21才。これからどのように変わっていくのか。ぜひ生の演奏を聴いてみたい。End
2008.01.04
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