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profile:山本ふみこ
随筆家。1958年北海道生まれ。つれあいと娘3人との5人暮らし。ふだんの生活をさりげなく描いたエッセイで読者の支持を集める。著書に『片づけたがり』 『おいしい くふう たのしい くふう 』、『こぎれい、こざっぱり』、『人づきあい学習帖』、『親がしてやれることなんて、ほんの少し』(ともにオレンジページ)、『家族のさじかげん』(家の光協会)など。

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2008/01/11
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カテゴリ: 生活

 今朝。
 いつものように、朝ごはんの仕度をしながら弁当をふたつこしらえる。 
 なぜか昨日、心づもりしてこしらえておいたおかずや、刻んで袋に入れておいた野菜のことを思い浮かべる前に……、あわてた。
 大あわてで、0から働く。
「あわてる」仕組みというのは、おもしろい。と、つくづく思う。
 一度あわてると、「あわて」をひとめぐりしないうちは、止まらない。途中で、「待てよ、」とか「そういえば、」というような合の手が入れられれば大事(おおごと)にならずにすむのだが……。



 どうしたわけか、わたしはあわてる自分がちょっと好きだ。
 全身であわてている自分は、あまりにもばからしくて、笑える。どこかでお腹をかかえて笑いながら、もうこうなったら、最後まできっちりあわてなさい、と励ますような気持ちになっている。
 今朝だって、台所に入るなりあわて、あわてながらうかれていた。
「あわて」は、いきなり始まり、いきなりおわる。
「あわて」が去ったとき、「あ、冷蔵庫にこんなものが……」と、昨日こしらえておいた肉団子と、ほうれんそうを茹でたもの、それに、洗って刻み、袋に入れておいたレタス、水菜、にんじんをみつける。
 あはは。
 わたしに「あわて」は付きものなので、いまや、あわてないようにしようなどとは露も思わず、これを道連れに生きていこうと思うわけなのだ。



 わたしが「あわて」を片腕に、片づけのためにもっともエネルギーをつかうのは、仕事部屋に入る前と、外出前、寝る前である。



 仕事を終えたとき(この場合の仕事は、書いたり描いたり読んだり、の仕事)。
 帰宅したとき。
 目覚めたとき。



 その3場面で、自分をがっかりさせては、まずい。
 そのがっかりは、いろんなところに、じわじわっと芳(かんば)しくない影響を及ぼすからだ。
 だから必死で、例の「あわて」の手も借りて、仕事前、外出前、寝る前の家を片づけに片づける——といったって、わたしの気が済むレベルで、だけど——。



 仕事を終えたとき。
 帰宅したとき。
 目覚めたとき。



 これらは、こざっぱりとした家に一歩を踏みだしたい瞬間だ。
 仕事部屋から出て……、外出先から帰宅して……、眠りの国からもどって……、家が片づいていれば、たとえお茶1杯飲むゆとりがなくても、すっとつぎの作業にとりかかれる。
 あわてたければ、あわてて、つぎの作業に。

Photo



夜、余裕があるときは、あと片づけをしながら野菜のせん切りをして、袋に入れ、
冷蔵庫に入れておきます。
これ、翌日の朝ごはんを助けます。
サラダに。スープに。炒めものに。
こういう助っ人は重宝だけど、忘れちゃってはねえ……。ため息。







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最終更新日  2008/01/11 10:00:00 AM
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